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ミドルサイズSUV、
マイノリティを愛する人たちへ
DS7 CROSSBACK & VOLVO XC60

DSのフラッグシップモデル、DS7クロスバックが発売となった。Cセグメントを謳いながら、サイズ、装備を考えればDセグに迫る内容とのことで、北欧の雄、ボルボXC60と比べてみた。

TEXT / 森口将之 PHOTO / 奥村純一
SPECIAL THANKS / DSオートモビルズ(https://www.dsautomobiles.jp/)&ボルボ・カーズ・ジャパン(https://www.volvocars.com/jp

ミドルサイズSUV、
マイノリティを愛する人たちへ

DSブランドの目指すところが見えてきた。DS7クロスバックを見てそう思った。既存のラインナップが、シトロエンブランドからの独立前に開発されたこともあるが、発表会でクラシックDSやSMと並んでファセル・ヴェガの名前が紹介され、フレンチラグジュアリーの復権というメッセージを耳にしたうえに、試乗会ではドラージュやドライエというネーミングも出てきて、そういうことなのかと腑に落ちた。

実際にクルマを見て、乗ってみた印象はこれから紹介するけれど、前に書いたプレゼンどおりの仕上がりで、いわゆるジャーマンスリーやレクサスなどのプレミアムブランドに肩を並べるフランス車の登場を実感した。

ただちょっと戸惑うのはその車格。DS7という名前からはDS5の上を連想するのに、ブランド側はCセグメントだと主張している。

たしかに500万円前後という価格帯は、今回登場してもらったボルボではXC60よりXC40のライバルになるだろう。しかし4590×1890×1635mmというボディサイズは、長さは4425mmのXC40より4690mmのXC60に近く、幅と高さはXC60とほぼ同じだ。

それ以上に見た目の存在感がある。スタイリングそのものは両車ともヨーロッパ車らしく、無駄な線を使わずに正統派SUVのシルエットを描いているが、DS7はディテール、とくにLEDを駆使した灯火類が宝飾品のようにきらびやかだ。左右3個ずつのヘッドランプは、リモコンキーを押すとパープルの光を放ちながら回転して点灯し、最新のレーザー彫刻技術を用いたという3リアコンビランプは、ルーヴル美術館中庭のピラミッドを思わせる輝きだ。

非日常的な雰囲気を発散するDS7に対し、XC60は洗練された北欧の日常といった趣。シンプルでありながらメッセージが伝わってくるし、ヘッドランプのT字型トールハンマーとグリルの折れ線を合わせるなど、細部まで手を抜かない造形はさすがだ。

インテリアからも同じような印象を受ける。インパネ中央のスタートボタンを押すとパネルが回転してアナログ時計が姿を現し、スイッチはパワーウインドウなど細かい部分まで専用で、フル液晶のメーターはダイヤモンド型がモチーフと、DS7はアヴァンギャルドが満載。

500万円クラスのクルマでここまで凝ったコーディネートは異例だし、今後登場するDSがすべてこの仕立てになれば、プレミアムブランドの中でも際立つ存在になるだろう。

対するXC60は、アイボリー基調の清楚なコーディネートが北欧らしい。スイッチが少ないことも特徴で、縦長の大型ディスプレイに機能を集約させ、音声操作もかなりのレベルで可能とするなど、ハイテクにも積極的に対応している。

ここまでは対照的だった両車であるが、シートの座り心地は近い。前後とも厚みがたっぷりしていて、リラックスして過ごせるのだ。ジャーマンスリーとは対照的である。広さは全長やホイールベースが長いXC60に分があるものの、DS7もCセグメントとしては大柄なためもあって、リアシートは身長170㎝の自分がゆったり過ごせるほど広い。

エンジンはどちらも直列4気筒のガソリンとディーゼルのターボを用意する。2リッターで揃えたXC60に対し、DS7はガソリンが1.6リッター、ディーゼルが2リッターと排気量が異なる。トランスミッションはすべて8速A/T。この面で遅れがちだったフランス車だがDS7は最新スペックになった。

今回はガソリン車での比較。となると排気量の小さいDS7は不利に思えるかもしれない。でもAWDのXC60に対しDS7はクラシックDSからの伝統を受け継ぐ前輪駆動であり、車両重量は290㎏も軽いから、加速に不満はない。

でもDS7の走りの主役はやはり乗り心地だろう。リアに新設計のマルチリンクを導入したうえで、新開発のアクティブスキャンサスペンションを導入したことが効いている。

アクティブスキャンサスペンションは、フロントガラスに装着したカメラで前方路面の凹凸を検知し、4輪のショックアブソーバーの減衰⼒をリアルタイムで電⼦制御、常に快適な乗り心地と走行安定性を提供するものだ。

同様の技術は他ブランドの上級車種でも導入しているが、エアサス同様味付けで大きな違いが出る。ただソフトなだけではなく、周期の長い揺れでショックをいなすしぐさは、電子制御とはいえ通常のスプリングとショックアブソーバーを使っているとは思えない。60年以上にわたるハイドロ経験が形を変えて蘇ったような感じだった。

XC60もボルボの伝統どおり、穏やかな乗り味で、最上級のプラグインハイブリッド車には標準、試乗したインスクリプションにはオプションでエアサスペンションも選べる。ただエアサス仕様はDS7のような独特の世界ではなく、コイルスプリングの延長で仕立ててあり、コイルのほうがバランスが取れていると思った。やはり経験がモノを言うのだろう。

ハンドリングはDS7のほうが素直で、XC60はおっとり風味が増す。車両重量の違いに加えて、ここでもアクティブスキャンサスペンションがいい仕事をしているのだろう。ボルボのAWDはBMWやジャガーなどとは違い、前輪駆動的なハンドリングであることも付け加えておく。

XC60のアドバンテージとしてはやはり安全性がある。しかしフランス車も近年急速にこの分野でレベルアップしており、DS7は衝突被害軽減ブレーキやアダプティブクルーズコントロールはもちろん、レーンキープアシストも装備している。

DS7はライバルブランドのDセグメントに匹敵する内容を、Cセグメントの車格と価格で提供するSUVと言える。このプライスでアヴァンギャルドなデザインとアクティブスキャンサスペンションが手に入るのはお買い得とさえ思えてしまう。DSブランドの本気を教えられる1台である。

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