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USED CAR

小さなおもちゃ箱に
無限の可能性を積んで
AUSTIN MINI VAN

昔乗っていたクルマを、再び手に入れたいと思うことがある。それが、昔から変わらずに価格も手が届きやすく、維持もしやすいミニ一族だったとしたら、もはや躊躇する理由は見当たらない。しかも、かつての自分の思い出が甦る特典付きで!

TEXT / 長尾 循 PHOTO / 田中秀宣
SPECIAL THANKS / ミニ屋AIフラジル (http://www3.wind.ne.jp/miniya)

小さなおもちゃ箱に
無限の可能性を積んで

時間はお金では買えない。長い間、趣味のクルマと苦楽を共にしてくると、そのクルマと過ごして来た時間そのものが自分自身の人生の一部分となっていく。そんな皮膚感覚を信じているからこそ、自分がこれから手に入れようとするクルマは、決して”財力にあかせてイチバンえらいヤツを手に入れる”のではない。そう言うのは、もっと趣味に対してギラついた熱量を持った人にお任せ。かといって、かつての”100ドロ”企画の様に、後の苦労は自分で背負う事を承知の上で、ともかく買ってしまえ! というスタイルでもない。そうではなく、選ぶのは自分にとってこれからの10年か20年間の間に、本当に必要にして十分な1台。

例えば、クラシック・ミニはどうか。2019年には還暦を迎えたこの”クルマ趣味界の王様”は、その長い歴史の中で数多くのバリエーションを生み出して来た。今やオリジナルのクーパーやクーパーS、あるいは初期の850cc のセブンやミニマイナーなどは、それこそ博物館級のモデルとして珍重される。市場の価格も含めて。その一方で、モデル後期のインジェクション・モデルなどはまだまだクルマ趣味の入り口で、老若男女問わずにフレンドリーなポジションを保ってくれている。そんな広大な”ミニの大海原” から、今の自分が見つけたのが、ここでご紹介する2シーターのバンである。

私事で恐縮だが、かつてアシに国産のワンボックスバンを買おうかと思った時期があった。そのわけは、自宅に増え続けるミニカーやプラモデルの収容スペースを少しでも余分に捻出したくて”ワンボックスなら、自宅からはみ出したコレクションを荷室に積んでおける”というもの。もちろんそんな自分都合のクルマ選びが、普通の乗用車を所望していた家族の同意を得られるはずも無く、この計画は幻に終わったのだった。

その代わり(?)に、自宅にアシとしてやってきたのが、1982年式のミニ1000だったというのも、今にして思えばどっちもどっちの話だが……。ともあれ、”自宅のコレクションを倉庫代わりのクルマの荷室に疎開させる”、という目的は果たせなかったが、逆にミニ1000 は、クルマそのものが” 原寸大のオモチャ” だった。

それこそ”100ドロ”を地でいくカタチで何年もの間、家族のアシとして活躍してくれたミニ1000だったが、もう1 台の”原寸大のオモチャ”たるスーパーセブンとの贅沢な2 台体制は長く続かず、結局ミニは会社の後輩に引き取られていった。

そんな自分自身の様々な来し方行く末を鑑みた今、やはり人間、今までの自分の生き様とかけ離れたクルマ選びはしないもんだという思いを強くする。

「カレラRSはさすがに無理だから、911Sにしておくか」とか、「250GTOを手に入れるなら、64年のLMルーフの方が好みだ」とか、自分の人生は、そんなナンチャラオークションとかの会場にはないのだから。

今回の予算の範囲内であれば、ボディも機関も申し分の無いミニ・バンが手に入る。ちなみにこちらの個体を改めてご紹介すると、数の少ないフラット・ルーフを持つ1964年式のオースチン・ミニ・バンMk.1。エンジンを1.3リッターに換装し、フロントのブレーキはディスク化。つり下げ式のクーラーまで備わっている。5ナンバー登録。ミュージアムに展示するようなオリジナルの個体を求めている人には向かないが、シレッと日常使いにするにはむしろありがたい改良点の数々。

そしてなにより、広い荷室を備えたバンであること。

昔、果たそうと思って果たせなかった”コレクションを、クルマの荷室に積む”という”遊び” が、これで遂に可能となるのだ。もちろん今の自分は、クルマを単に押し入れ代わりに使うのでは無い。いずれ仕事をリタイヤしたら、このミニ・バンの荷室にミニカーとプラモデルを詰めるだけ詰め込んで、各地のフリーマーケットをのんびりと行脚したいのである。”自宅のコレクションの断捨離も兼ねて”という大義名分があれば、こんどは家人の了解も得られるはず。

時間はお金では買えない。これは本当だと思うが、だからこそ人は、思い出や郷愁を何らかのカタチで手元に残しておきたいと思うものなのだろう。そして、自分の手元にちっぽけなミニのバンがやってきたとしたら、旧友に再会したかのような懐かしさと共に、また新たなクルマ趣味の扉が開く様な気がする。それはどんなに高価で素晴らしいヒストリックカーを手に入れるよりも、自分にとって最も幸せなクルマ選びとなる気がするのだ。

▲シンプルなMk.1の佇まいは、商用車であるバンによくマッチする。リアゲートのごついヒンジが、コマーシャル・ビークルのタフネスを物語る。ルーフのベンチレーターも、バンならではのポイント。この個体はエンジンを1.3リッターに換装し、フロントのブレーキはディスク化、つり下げ式のクーラーも備わるなど、現代の路上にも対応出来るアップデートが行われている。5 ナンバー登録。

もうひとつの大本命

1974 BL ミニ1000 Mk.III

本文でも触れているが、個人的にかつて10インチのミニ1000と暮らしていた時期があるので、1970年代〜80年前後の”フツーのミニ”は、今でも気になる1台。そして、今回の取材でお邪魔したミニ屋Ai フラジルのショールームで目にとまったのが、この1974年式BLミニ1000Mk.III。

当時のディーラーであるキャピタル企業が輸入した1台で、当時のまま残されている車検証入れには”英国オースチン日本総代理店キャピタル企業株式会社”の文字と、ブリティッシュレイランドのロゴも入る。ボディの艶は所々に退色も見られるものの、シャシーなどは大きな錆もほとんど見られず、状態はとてもよい。どの程度まで仕上げるかは、未来のオーナーと話し合いで決めるとの事から、現時点での価格は”応談”となっているが、もちろん今回テーマの価格帯で収める事も可能だろう。