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ダブルキャビンのVWバス、その名も「ドカ」!VW T3 VANAGON DOUBLE CABIN

仕事にこだわりがあればこそ、道具にもこだわりたくなる。そこでここでは、そんなオーナーの思いを実現するために手に入れ作り上げた、「こだわりまくった働くクルマ」をご紹介しよう。

TEXT / 日岐まほろ PHOTO / 宮越孝政
SPECIAL THANKS / スイッチコネクション(http://www.switch-connection.com/

ダブルキャビンのVWバス、
その名も「ドカ」!

神奈川県横浜市の北西部に位置する青葉区は、“たまプラーザ”に代表される洒落た街並みがあり、また幾多の丘陵と自然豊かな田園風景にも溢れている。そんな街並みの中で、1989年式フォルクスワーゲン・ヴァナゴンのダブルキャブを相棒にビジネスを展開しているのが「スイッチコネクション(SWITCH CONNECTION)」の代表を務める関戸正彦さんだ。

スイッチコネクションでは、主に住宅やオフィスのリノベーション事業を手がけている。関戸さんが会社を立ち上げたのは2010年のことだ。それ以前は、約20年にわたって店舗の設計施工を手がける会社に勤務。有名ブランドの事業店舗を手がけるなど、関戸さんがサラリーマン時代に担当した施工は1000件を超えるという。

最終的には店舗事業の現場制作責任者として管理職のポストを与えられるまでになったそうだが、反面自分の好きな制作現場とは距離ができてしまったという。

“もっと現場を大切にしながら仕事をしたい”という強い思いから、遂に勤め人を辞める決心をし、自身のビジネスにチャレンジしたのだった。

サラリーマン時代には店舗事業を担当していた関戸さんだが、独立に当たって考えたのが「住宅」のリノベーションだ。だが関戸さんにとって住宅内装事業は未開の分野。「起業して最初の3年は全く仕事がなかったんですよ。家族を守らなければいけないのにどうしようといつも心配していました」と回想する。独立当初は事業用のクルマを持つということまで考えが及ばず、移動の足はもっぱら電車や自転車だったそうだ。そうした中、少しずつ事業実績を重ね導入した初の社用車は軽ワンボックスだった。荷物は積めるし使い勝手もよく気に入っていたそうだが、ある時、とある街道沿いに停車中の1台のフォルクスワーゲンに目を奪われることになる。それが、ヴァナゴンの“DOKA(Dopple Kabine=ダブルキャブ)”だった。「クルマで移動中にふと目に飛び込んできたもので、何のクルマだかその時はわからなかったんです。でもシルエットは鮮明に印象に残りました」

この時から、関戸さんの心の中にフォルクスワーゲンが棲みつき始めたのである。個体としても珍しいヴァナゴンのDOKAを、どのようにして手に入れたのだろうか。

「この子が手元に来たのは1年ほど前なんですが、実を言いますともう1台、タイプ2のバスを持っているんです。しかも先に手に入れたのはバスの方で……。ヴァナゴンを見かけてからその印象がすごく鮮明だったんですけど、あるフリーマーケットの会場でワーゲンバスの移動販売車を見かけたんです。それを見て“これもいいなぁ!”となりまして」

「ちょうどヴァナゴンを見かけた場所の近くに、仕事の取引先があるんです。ちょこちょこ通ううちに、どうもそこの近くにフォルクスワーゲンの専門店があるらしい、と。それで見に行ってみたらアーリーバス、レイトバス含めて何台かあるじゃないですか。“普段使いで乗りたいのですが”と相談し、試乗してみたりもして、ブレーキ性能も少し良くなった1971年式のレイトバスを購入することにしたんです。今から3年ほど前のことです」。

こうしてワーゲンバスを手に入れた関戸さん。さっそく社用車として大活躍かと思いきや、実際のところは会社のマスコット的な役割での導入に留めたそうだ。購入時に走行性能などある程度検証はしたものの、バリバリのビジネスパートナーとして転がすにはやはり信頼性への不安が顔を出す。関戸さんはキャンプなどアウトドア遊びも趣味としているそうで、そうしたライフスタイルのパートナーとして活躍してくれるだけでもワーゲンバスを手に入れたことは大成功だったそうだ。こうしてフォルクスワーゲンライフを楽しみ始めた関戸さん。そこへ、レイトバスの購入元である鈑金専門店から今回の主役ヴァナゴンDOKAの情報が舞い込むのはそれから程なくしてのことだった。

「ヨーロッパにある個体でした。スウェーデンで消防車として活躍していたものらしいのですが、結構良さそうな個体があると。私がレイトバスでお世話になっているそのお店はすでにヴァナゴンDOKAを何台も扱っていたんですが、海外から持ってくるとなるとそれなりの思い切りも必要です。でもそこの店長が“これは良さそうだよ、このクルマでやってみようよ”と話してくれました。作り手がこれだけやる気でいてくれるなら、きっといい1台ができると思って、私も“ぜひお願いします!”となったんです」。

会社設立から6年ほど、社員も増え社用車が軽バン1台では物足りない状況になりつつもあった。そんなところで舞い込んだ憧れのヴァナゴンの報せ。実際に話が持ち上がってから関戸さんが晴れてオーナーになるまでおよそ1年半ほどの時間を要したそうだが、エンジンなど主要機関のオーバーホールを実施し、ボディは落ち着きあるアースカラーで塗装仕上げを行い、ボディサイドには大きく「SWITCH CONNECTION」の社名ロゴもバッチリとキマった念願の1台が、関戸さんのビジネスパートナーとして無事に納車されたのだった。

もちろんクルマの完成イメージは関戸さんのアイデア。ヨーロッパでは消防車として活躍していた1台が、見事なリノベで生まれ変わった。仕事における移動の足としてはもちろん、建材・部材を運んだり、時にはカスタマーをもてなす移動空間としても大活躍をしているとのことだ。「私たちの仕事はお客様のイメージする住宅やオフィス空間をカタチにする“ものづくり”ですが、私たちスイッチコネクションのスタッフが“働く姿”もお客様に選んでいただくための商品のひとつだと考えています」と話してくれた関戸さん。

空間に新しい価値をもたらすものづくりを通し多くの人を喜ばせることを生業とする仕事人。そんな関戸さんの相棒に、まさにピッタリの働くクルマであった。

トラックのフォルムを最大限生かした仕様

関戸さんのお店の屋号「SWITCH CONNECTION」のロゴが走るアースカラーのボディに、アクセントとなるレッドの幌が目を引くサイドビュー。

シールドビームの丸いライトが印象的な初期型ヴァナゴン。あえてワゴンボディではなくダブルキャブをチョイスするあたりが関戸さんらしい。

後部座席の下から荷室にかけて設置されている割と大きめの収納庫。濡らしたくないものを入れるのに便利とのこと。

荷室の下に給油口があるのはシンクロモデル(4WD)の証だ。

主に見た目を優先してチョイスしたというBFグッドリッチのオフロードタイヤ。

現在は使用していないが、ヒッチメンバーも装着済み。

時代を感じさせるシンプルな水平基調のラインで構成されたコクピット周り。運転席からの見晴らしは抜群。助手席の前には後付けのクーラーが備わる。

同年代のゴルフIIを思わせるフロントシート。座面は固めだが座り心地はまずまず。

後部座席はベンチのように平面だが、仮眠が出来そうなぐらい広くて快適。

荷台にあるアルミボックスは、関戸さんが散々探しまくった結果、某オークションサイトで落としたものだそう。この大きさはなかなかないそうだ。

幌は、元消防車に使用されていたものを、リメイクして再利用。

SPECIFICATION
VW T3 VANAGON DOUBLE CABIN
全長×全幅×全高:4569×1844×2085mm
ホイールベース:2456mm
トレッド(F/R):1570/1570mm
車両重量:1160kg
エンジン型式::水平対向4気筒OHV

総排気量:2109cc
最高出力:112ps/5000r.p.m.
最大トルク:16.5kg-m/3000r.p.m.
サスペンション(F/R):ストラット/リーフリジッド
ブレーキ(F/R):ディスク/ドラム
タイヤ(F&R):215R15-6PRLT

OWNER

オーナーの関戸さんは内装屋さん

ヴァナゴンのオーナーである関戸さんは、主に内装業を手掛ける会社、スイッチコネクションの代表。

「現場主義」を謳う関戸さんはツナギにも拘り、背中には同社のロゴがステッチされる。

オフィスは、冷たく感じられがちなインダストリアルなアイテムが多いにも関わらず、優しい照明と木材の多用、そしてそこに緑を配置することで、ぬくもりが感じられる空間になっている。

普段の愛車はレイトバス。それを忠実に再現したミニカーと羊毛フェルト製マスコット。

お客さんに出す紙コップにもこの拘り。思わず仕事をお願いしたくなる。

会社設立当初に着用していたツナギは、本人がいつも初心を忘れないようにと額装されている。

スイッチコネクションでは主にインダストリアルなアイテムを扱う雑貨店も経営している。

水の動きを利用した照明を作ろうと試作したというペンダントライト。同社では、「モノ作り」に関しても注文を受け付けており、頭の中のアイデアを具現化する手助けを行っている。