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あの頃のネコ目プジョーに魅せられてPEUGEOT 406 COUPÉ & 206 MAXI

日本にブームを巻き起こした“06世代”プジョーもすっかり数が減ってしまった。でもあの頃のプジョーに惹かれているオーナーは多い。今でも大切に乗り続ける206と406クーペを持つオーナーを訪ね、その魅力に迫った。

TEXT / 遠藤イヅル PHOTO / 山本佳吾

2001 PEUGEOT 406 COUPÉ “Settant’anni”

二度と生まれない
エレガンスを備えたモデル

プジョーは205以降206や207、306に307、308、106などハッチバックのイメージが強いけれど、フルラインメーカーでもあるため中型サルーンや旗艦も伝統的に持っていることはご存知の通り。しかも必ずと言っていいほどクーペやブレーク、カブリオレを設定してきたのもプジョーの伝統だ。

406クーペはその伝統に則り、中型サルーン406に1996年に追加されたクーペモデルで、ピニンファリーナが手がけた“美し過ぎる”ボディと、贅沢に仕立てられた内装を持つ。クーペといえど後席の居住性も犠牲になっておらず、高い実用性を持っていることもまたプジョーの400番台クーペの伝統だった。過去形にしたのは、この後の世代407の後継モデル・508以降からプジョー400番台が消滅し、おまけにクーペもラインナップから消えてしまったからだ。残念!

406クーペはデビューして四半世紀を経ているが、クラシカルで普遍的な美を持つデザインは古さを全く感じさせないばかりか、むしろデザイン過剰な現代においては新鮮に映る。全長4615×全幅1815×全高1365mmの外寸は適度なサイズ感で、マルチシリンダーらしい野太いサウンドも味わえるV6エンジン(本国には直4モデルもあった)は高級スペシャリティカーらしさを醸し出してくれる。

年代的にもプジョーが概ね心配なく日常生活で使用できる時期で、かといってデリケートなキャブレターや難しい操作、エアコンが無いなどの我慢も強いられない。ボディは今よりも緩く、乗り味も良い意味でユルい。シートもソフトで、内外装も優しいデザインだ。それら全ての要素が、クルマ全体の角が立っていない、あの頃のプジョーらしい性格を演出する。

そう、ミレニアム期のプジョーは、いにしえのプジョーの雰囲気を残しつつ、かつ現代でも十分実用に足る性能と快適性を併せ持つ「いいとこ取り」の世代なのだ。さらに406クーペは今後二度と生まれ得ないほどのエレガンスを備えたモデルとして、今だからこそ見直したい一台。世界的にもこの唯一無二のモデルのファンが改めて増えている。時期的にもパーツの供給が減ってきており、乗るなら今このタイミングしかないかもしれない。

ハイペリオンブルーという水色メタに純白のレザー内装を持つ406クーペの特別仕様で、ピニンファリーナ70周年を記念してフランス国内1200台限定で発売された「セッタンタ・アンニ」を所有する近藤光一さんも、まさにそんな2000年代の車種に惹かれ続けている一人だ。

プジョー306スタイルや206GTi、ルノー・アヴァンタイムなどを乗り継いだ近藤さんは2009年に、日本では並行で5台入ったかどうかという希少なセッタンタ・アンニを購入。以来、氏の日常使用のメインカーとなるほどのお気に入りとなっている。近藤さんは実はもう一台、2000年代のプジョーを持っているのだが、それもまた驚きの希少車だ。こちらも続いてご紹介しよう。

406セダンをベースにピニンファリーナが線を引いたクーペボディは実に優美。

ネコ目デザインのテールライトもヘッドライトと並んでプジョー伝統のアイデンティティ。

サイドに貼られた「f」のエンブレム。ピニンファリーナによって線が描かれ、製造された証だ。

細かなフィンを持つデザインが特徴的なアルミホイールは、ピニンファリーナのコンセプトカー「ノーチラス」と同じ意匠。

シトロエンXmなどにも積まれた3リッターV6エンジンはフロントに横置き搭載。ZF4製4速A/Tを介して前輪に伝達される。最高出力206ps。

ダッシュボードは406セダンと共用だが、クーペ独自のシルバーリムのメーターが上質感を演出。白×黒の本革ステアリングもオシャレ。

ドアトリムもクーペ専用。70周年モデルはここも純白だ。

ダッシュボード右端には70周年モデルを証明するプレート。ナンバーは221番。

仕上げの良い純白シートがスペシャルムードを強調。ヘッドレストにfマークのエンボス加工も。

クーペボディながら後席の居住性は意外にも高く、大人4人での移動に十分な空間を備えている。

2001 PEUGEOT 206 MAXI

激レア!
プジョー・スポール製ワイドボディ

2000年代のネコ科に惹かれた近藤さんが持つもう一台の「とびきり」が、206のラリー仕様、206MAXI(マキシ)だ。

当時のプジョーは206で世界ラリー選手権に参戦。1997年から登場した4WD+ターボの「WRカー」規定に即した206WRCを1999年から投入、翌年から数々のドライバー/マニュファクチャラータイトルを獲得し、当時最強のマシンとして名を馳せた。特徴は大きく張り出されたワイドなフェンダーと巨大なリアスポイラーで、戦闘力が高そうなルックスは幾多のファンを生んで206WRCのレプリカも多数製作された。日本でも今なお多くのレプリカが元気に走り続けていることが、あの時感じた憧れや受けた衝撃の大きさを物語る。

206WRCのレプリカは基本的にムスケティアやディーマなどのアフターパーツメーカーが販売したキットを装着したものだが、近藤さんの206は、一見同じようなワイドボディのラリーカーに見えて、実はプジョー・スポール製の「ホンモノ」キットを組み込んでいる。しかもWRカーではなく、WRCの登竜門として設定されたJWRCで使用されていたFF+ノンターボ1.6リッターの「スーパー1600」というカテゴリー用のキットなのだ。そのため、全長4m以上が必要だったWRカー規定に合わせ前後バンパーを延長して対応した206WRCと異なり、バンパーは伸ばされておらず、全長は本来の206のまま。よくよく見るとフロントフェンダーのアーチも大きく、206WRCのワイドボディとは別物なのだとわかる。

マキシという名称も、ワイドなフェンダーが度肝を抜いた306マキシやルノー・クリオ・マキシと同じ流れにある。近藤さんの206マキシは、特別に5セットだけ日本に輸入されたプジョー・スポール製のワイドボディキットを、プジョーに精通したスペシャルショップで装着した個体だ。プジョー・スポールが製作する競技車両は一般への販売をしてくれないのだが、プジョー・スポール製ボディキットを持つこのマシンは、「ホンモノの206マキシ」と言ってもいいだろう。

近藤さんの206マキシは、カリカリにチューンしてラリーに参戦するような仕上げにしていないのが好ましい。エンジン及び吸排気、足まわりやブレーキなどはファインチューンが施され、適度にスポーツ走行を楽しめる。インテリアもスパルコ製バケットシート以外はノーマルで、ロールバーも装着されない。エアコンも残され、オーディオはナカミチ、リアのトノカバーにはウーファーまで置かれていて音楽を聴く環境も整っている。

クルマ好きなら憧れたレースカー、ラリーマシンがあると思う。そして願わくば、手に入れることができないマシンたちに近づきたいと思うものだ。近藤さんの206マキシのように、ラリーマシンの迫力ある外観そのままに快適かつ適度にスポーティで日常から走りを楽しめる「ストリートユース」仕様は、その夢を叶えるための理想の一台かもしれない。

一時期は日本で売れまくった206。それにプジョー・スポール製のワイドボディキットを組み込んだMAXIはかなり希少だ。

WRC規定上のバンパー延長で全長を稼いだ206WRCと異なり、206MAXIは206本来の短いノーズのまま。

タイヤとアーチの隙間が大きいフロントフェンダーも206WRCと違う点。ホイールはスピードライン製。

外観はスーパー1600仕様だが、エンジンは206 S16などと同じ2リッター直4 DOHC 16バルブユニット(カタログ値137ps)が積まれる。

サスペンションはノンオリジナル。アラゴスタの車高調整式サスを装着している。

エクステリアのド派手さに比べるとインテリアはノーマル然としている。オーディオもナカミチが奢られ、エアコンもそのまま装着される。つまり快適なストリートユース仕様だ。

ミッションはショートストローク化された5速M/T。コリコリと小気味よく決まる。

シートはフロント2座をスパルコ製に換装。

OWNER/近藤光一さん

愛知県名古屋市で建築設計事務所を営む近藤さん。車歴は2000年前後のクルマが多め。現在はここでご紹介した以外にも2台のイタフラ車を所有。

近藤さんはご自身の趣味を活かして、ガレージやガレージ付き住宅の設計を得意としている。クルマ好きが家を建てる時には気軽に相談してみるといいだろう。
■近藤光一建築設計事務所
愛知県名古屋市緑区滝ノ水4-1307
http://kondo-archi.com/