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少量スポーツカーメーカーの矜持RELIANT SABER4 & TORNADO TALISMAN GT Mk.2

1960年代に、数多く誕生した少量生産スポーツカー・メーカー。彼らのクルマの多くは、商業的に成功することなく消えていった。だが、作り手が理想を求めたクルマの中には、驚くほど高い完成度を誇るものもあった。イギリス製の珍しい2台をご紹介しよう。

TEXT / 中島秀之 PHOTO / 奥村純一
SPECIAL THANKS / オートメディック (http://www.automedic.co.jp/

少量スポーツカーメーカーの矜持

そもそもスポーツカーは、どんなに人気があるモデルでも大量に売れるわけではない。とはいえ、ある程度数が売れなければ、採算が取れないのも事実で、今も続く老舗スポーツカー・メーカーは、そうした面で、価格も含めて巧みにバランスを取っているわけだ。

一方で、通常より遥かに少ない数しか生産しない、少量生産メーカーというものも昔から存在する。こうした会社の作るスポーツカーは、大手や老舗が作るものとはひと味もふた味も違うものが多く、味わい深かったりする。ただし商業的に成功するのはごく一握りで、多くは多額の投資を回収できないまま、会社を存続させることができずに姿を消していく。 ではなぜ彼らは、リスクを承知でスポーツカーを作るのか? こうした少量生産メーカーが無数に存在した1960年代初頭のイギリスで誕生し、共に僅か数百台の生産で終わった2台のスポーツカー、リライアント・セイバーとトルネード・タリスマンを元に、理想と現実のギャップを検証してみた。そこから見えてきたのは、少量生産スポーツカー・メーカーの矜持とも言うべきものだった。

1961 RELIANT SABER4

なんとなく既視感はあるが、全体にスタイリッシュにまとめられたデザインが魅力的。初期のファイバーボディだが精度は髙いようだ。

3輪車の生産で知られるリライアント社は1935年の創立で、戦後は1953年から本格的に操業。FRP加工技術の先駆者でもあり、イスラエルやトルコにも工場を進出させていた。そんな中、提携先であるイスラエルのオートカー社のY.シュビンスキーが、1960年のロンドン・レーシングカー・ショーを訪問。そこに展示されていた、レスリー・バラミー社のラダーフレームと、アシュレイ・ラミネーツ社のFRPボディを組み合わせてスポーツカーを作ることを計画する。その開発をリライアントが行い、サブラ(SABRA/サボテン)として100台以上をオートカーに納入。イスラエル国内と一部北米市場でも販売されたという。

リライアントはこのサブラに改良を加え、1961年にセイバー(SABRE/サーベル)として、イギリスで発売した。FRP製のオープントップ・ボディはフロント部をリデザイン。サスペンションは、フロントがリーディングアーム独立、リアがワッツリンクを使うリジッド。エンジンはフォード・コンサルMk2 用直4OHV1703cc(204E)で73psを発揮。ZFの4速フルシンクロミッションを装備していた。

1962年モデルから、ファストバック風ルーフを持つGTと、フォード・ゾディアック用直6OHV2.6リッターエンジンを搭載するセイバー6が登場。これに伴い直4仕様はセイバー4となった。またフロントデザインがMGB風の端整なものに変更されていた。

ただ販売は芳しくなく、1964年までにセイバーが208台、セイバー6が77台(内オープン2台)生産されただけに終わった。

今回取材したのは、クラシックカーのメンテナンスと販売が専門のオートメディックさんからお借りした、1961年式セイバー4。後期型ノーズと前期型の四角いリアホイールアーチを持つ過渡期の仕様で、数台しか現存していないという希少なモデルだ。

1961年と言えば、MGはAの最終期で、トライアンフはTR4が誕生した年だ。そこにこのスタイリッシュなオープンとクーペは、相当なインパクトだっただろう。撮影のため少し運転したのだが、エンジンはトルクフルで、軽量ボディをジェントルに走らせる。また足周りは乗り心地がソフトで、セイバーがMGAやTR3より高級な路線を狙い、かなり高い完成度を有していたのがわかった。 少量生産ゆえ価格が高価だったのが、商業的に成功しなかった最大の理由だろうが、当時のイギリス・スポーツカー市場のニッチを狙っていたことは明らか。リライアントのニッチ狙いは、この後シミターGTEで結実することになるのだが、セイバーの経験が役立ったのは間違いないだろう。

インパネはFRP製で、スミスのメーター形状に合わせた立体的な造形を採用。速度計と回転計の下に二個ずつ各種メーターを装備。

シートは着座位置がやや高いものの、厚手で座り心地の良いものだった。

1枚目/大きく膨らみ、テールフィンを構成するリアフェンダーはメルセデス190SLなどを彷彿させる。2枚目/テールランプはキャレロ製で、101 系ジュリエッタ・スプリント用と思われる。バンパーはボディと一体成型。3枚目/左リアフェンダーのフューエルフィラー。燃料タンク容量は10ガロン(38リッター)。

後期型のフロント部分の造形は、ほぼ同時期に登場したMGBと似ている。ボンネットはフェンダーごと一体で開閉するタイプ。

床下に燃料タンクがあるため浅く、スペアタイヤでほぼいっぱいのトランクスペース。

現車は165R15 サイズのタイヤとワイヤースポーク・ホイールの組み合わせ。ブレーキは前ディスクで後ドラム。

リアサスペンションはワッツリンクとコイルを使ったリジッドタイプ。ラダーフレームも見えている。

エンジンルーム内に残る、リライアントのメーカーズプレート。タムワースは英国中西部のスタッフォードシャーの街。

エンジンはフォード・コンサルMk.2(1956 ~ 62 年)用の204E型直4OHV1702cc。本来キャブレターはゼニス34VN ダウンドラフトだが、SUが装着されていた。

フロントサスペンションは大きなスイングアームが後方から支えるリーディングアーム式を採用。

リアビューの方が1950 年代の香りを残しているように見える。現車はオートメディックさんの販売車両で、価格は要問合せ。

複雑な折り畳み方をする幌骨を持つ幌は、シート後方に収納できる。幌生地は特注の新品。

SABERのバリエーション

リライアント・セイバーは当初長いノーズとブーメラン型のバンパーを備えていた(1枚目)。またクーペはファストバック風の固定ルーフを持つ。ノーズ形状を変更した後期型から2.6リッターの直6エンジンを搭載したセイバー6(2枚目)が登場。リアホイールアーチは丸型になった

リライアントはその後?

リライアントは3輪のリーガルやロビン、4輪のレベルなどと並び、1964年に2 +2クーペのシミターGTを発売。これを元にした2ドアワゴンのシミターGTEが1986年まで作られるヒットとなった。その後シミターSS1などを経て2001年に自動車生産を終了した。
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