OTHERS

<その他コンテンツ>
ニューカー、ヤングタイマー、クラシック、オーナー、ライフスタイル、
カタログ、100ドロ、ミニカーなどなど
NEW CAR

ミドル級ディーゼルセダンという選択肢ALFA ROMEO GIULIA,JAGUAR XE & PEUGEOT 508

近年、SUVブームの陰ですっかり影が薄くなりつつあったミドルセダンだが、ここに来て、魅力的なディーゼルエンジンを搭載したモデルが相次いで日本市場に投入されている。ディーゼルの力強い走りが、ミドルセダン復権の鍵となるのか検証する。

TEXT / 武田公実 PHOTO / 神村 聖
SPECIAL THANKS / FCAジャパン(https://www.alfaromeo-jp.com/)&グループPSAジャパン(https://www.peugeot.co.jp/)&ジャガー・ランドローバー・ジャパン(https://www.jaguar.co.jp/

ミドル級ディーゼルセダンという選択肢

ここ数年、国内市場においても急速にプレゼンスを増している感のあるヨーロッパの「クリーンディーゼル」搭載車。このジャンルでも覇権を争うドイツ勢に加えて、他の欧州諸国からも、より個性を際立たせたディーゼルサルーンたちが続々と日本国内マーケットに進出してきている。

そんな折、2019年春から日本に正規導入されたアルファロメオ・ジュリア&ステルヴィオのディーゼル版を体感できる「スポーツディーゼル試乗会」に参加する機会を得たことから、これを機にジュリアとジャガーXE、そしてプジョー508のそれぞれディーゼル版を一堂に揃え、非ドイツ系の欧州製クリーンディーゼルセダンの比較テストを敢行することになった。

まずは俎上に乗せられたアルファロメオ・ジュリア・スーパーとジャガーXEランドマークエディションのディーゼル仕様、プジョー508GTBlueHDiの三台を並べて見比べると、三車三様にカッコいい。ジュリアは、最初にクアドリの広報写真が公表された際の個人的印象こそ良くなかったのだが、のちに現車、特に4気筒モデルと対面してみたら、グラマラスな肢体にすっかり魅せられてしまった。おそらくは往年の「醜いジュリア」のごとく、見慣れると魅力を感じるタイプの奥深いデザインなのだろう。

また、ジャガーXEも負けず劣らずスタイリッシュ。つい先ごろ退任が発表されたイアン・カラム氏のデザインフィロソフィを体現したボディは、「小股の切れ上がった」スポーツカー的なフォルムが、実に魅力的に映る。そしてプジョー508にも「もしもピニンファリーナが今なおプジョーデザインを手掛けていたならば……」と夢想させるような、なんとも大人っぽい美しさが感じられたのである。

ジュリアの2.2リッターディーゼルの出力は190ps。ステルヴィオの210psから20psダウンとされているものの、他の二台よりも約200cc排気量が大きいこと、あるいは、他の二台より軽い1600kgの車重も相まってか、トルク感はこの三台の中でもピカイチ。そして、間違いなく速い。ディーゼルの特質上、高回転までスカーンと回ることはないのだが、特に中速域のパワーの盛り上がりは、かつて「アルファ・ツインカム」や「ブッソーネV6」などの名機を輩出したメーカーの作品であることを実感させる。

ところが、回転フィールやサウンドの洗練度には、若干の古さが目立つのだ。アイドリングから「ガ行」で表記されそうなディーゼル音が目立ち、回転を上げても収束されることはない。高速ツーリングではエンジンの存在を忘れてしまいそうになるほどに洗練された静けさを誇るプジョー、アクセルを踏み込めば、「快音」と言いたくなるような4気筒サウンドがかすかに聴こえてくるジャガーに比べると、どうしてもひと昔前のエンジンであるかのように感じられてしまう。

しかも、重々しいディーゼルエンジンと、アジリティを強調したハンドリングとの間に、若干の齟齬があるのも気になるところ。電動パワーステアリングの初期応答が過敏であることから、不用意に操舵するとノーズが予想以上に鋭く旋回する。リア・サスペンションの剛性が高く、ロードホールディングにも優れているので、結果としてスポーツカーのようなハンドリングが堪能できるものの、エンジンのキャラとは不釣り合いに感じられる。

この日の試乗会では、ガソリン版ジュリア・スーパーと乗り比べる機会も得たが、現代の4気筒直噴エンジンとしては出色の快音を放ちつつ、気持ちよく吹けるガソリンターボなら、このクイックなハンドリングもピッタリ。かつて75や156などに恋い焦がれたアルフィスタも満足できる煽情的な走りが堪能できた。少なくとも現状では、やはりアルファにはガソリンが似合っていると再確認したのだ。

一方のジャガーXEは「極上」と言いたくなるステアリングフィールに、このモデル最大の特徴、アルミ合金製モノコックのもたらす軽さも実感できる。しかし、ジュリアのそれに比べれば遥かにナチュラル。ディーゼルエンジンのフィールから突出することもなく独特の人車一体感を得ていることは、称賛に値すると言えるだろう。またディーゼルが得意とする分野、高速ツーリングでの安定感についても、まったく不満を感じさせなかった。

そしてプジョー508だが、こちらはそのグレード名のとおり「GT」として輝きを放つモデルのようだ。もちろんワインディングが苦手ということはないのだが、三台の中でも最も大柄なこともあって、より穏やかなセットに感じられる。しかしその傍ら、試乗会前日に行われた「高雄サンデーミーティング」取材のアシとして、京都まで約500kmを一気に走り切った際には、不思議なほど疲れないことに驚かされた。今回の三台の中で、もとより高速ツーリングに適したディーゼルと最もマッチしているのは、間違いなくプジョーと結論づけたのだ。

とはいえ、今回比較試乗した三台の違いは、あくまで個性の違いと言うべきだろう。アピアランス上の印象と同じく、走りのキャラクターでも三車三様の個性をアピールした三台は、優劣をつけるようなものではない。乗り手の嗜好やライフスタイル、あるいは各ブランドへの「愛」こそが、選択のための基準として相応しいと思われる。

そして「クリーンディーゼルを搭載した欧州ミドル級セダン」というカテゴリー自体は、エンスージアストの趣味車としても充分にアリ! という結論が得られたことは、ある意味収穫と言えよう。特に、ブランドの伝統を体現した強い個性を持つ「ドイツ車以外の選択肢」は、これまで以上に注目されて然るべきと考えるのである。

ALFA ROMEO GIULIA 2.2 TURBO DIESEL SUPER

トルク感とクイックなハンドリングはピカイチ

アルファロメオにとって久方ぶりのFRセダンとして2016年に発売された新型ジュリア。日本市場には2017年秋から導入された。

車検証の前後軸荷重はそれぞれ800kgで、FR車として理想とされる前後重量配分50:50を完全に実現。

タイヤは前225/45R18、後255/40R18の前後異サイズ。

2.2リッターの直4ディーゼルターボは190ps/45.9kg-mを発揮。トルクの太さは今回の3台の中でも最強を誇る。

ジュリアの各モデルの中でも、ウッドパネルとレザーを組み合わせたスーパーのインテリアは白眉。彫りの深いコクピットの造形を際立たせる。

シンプルでスポーティなメーター。左の回転計は3500r.p.m.まで一気に回る。

ソフトな感触のレザーシート。電動8ウェイでヒーター付き。

後部座席は大人でもストレスを感じない広さ。

ラゲッジ容量は480リッターあり、ミドルクラスのセダンとして標準的なスペースを確保。

SPECIFICATION
ALFA ROMEO GIULIA 2.2 TURBO DIESEL SUPER
全長×全幅×全高:4645×1865×1435mm
ホイールベース:2820mm
トレッド(F/R):1555/1625mm
車両重量:1600kg
エンジン:直列4気筒インタークーラー付ターボディーゼル
総排気量:2142cc

最高出力:190ps/3500r.p.m.
最大トルク:45.9kg-m/1750r.p.m.
サスペンション(F/R):ダブルウイッシュボーン/マルチリンク
ブレーキ(F&R):Vディスク
タイヤ(F/R):225-45R18/255-40R18
価格:567万円

1 2