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他人と違うミニバンライフOLD&NOWFIAT DUBLO & AUTOBIANCHI BIANCHINA PANORAMICA

クルマ好きなら一度は思う(?)「他人と絶対に被らないクルマが欲しい」。そんな気持ちにお答えするべく、所有欲を異常に満たしてくれる激レアなイタリア車、しかも荷室がたっぷりある2台をチョイス。ここにご紹介したい。

TEXT / 遠藤イヅル PHOTO / 宮越孝政
SPECIAL THANKS / アクトオートサロン(https://act-car.net/

他人と違うミニバンライフOLD&NOW

イタリア車の話題ではあるが、まずはルノー・カングーの話で始めよう。読者諸兄には今さら説明する必要もないが、乗用車の後半に箱を背負わせた「フルゴネット」スタイルの商用車ルノー・カングーは、日本では乗用モデルが大いに人気を博している。欧州でもカングーの後を追うように、PSAのプジョーとシトロエン、およびフィアットなど主要メーカーも相次いで商用/乗用兼用の“貨客車”のフルゴネットを発売しており、今回ご紹介する「フィアット・ドゥブロ」もまさにそのひとつ。初代は2000年に登場、ブラジル、トルコ、ロシア、ベトナム、北朝鮮などでも生産された。

そして2010年に2代目にスイッチ。カングーが2代目で大型化したようにドゥブロも全幅を拡大、2代目初期ではギョロ目のデザインだったが、2015年に現在のシャープなフロントマスクにリデザインされている。なお、残念ながら初代を含めて日本では正規輸入されていない。

イタリアでの乗用ドゥブロ(商用版はドゥブロカーゴ)には廉価版の「EASY」、装備充実の「ラウンジ」、SUV風の「トレッキンング」があり、取材車は「ラウンジ」だった。本国で650ユーロのオプションとなる美しいブラウンメタリックもよく似合っている。室内の設えはベースが商用車とは思えないほどに高く、使い勝手の良さは言うまでもない。前席頭上には大きな棚も備わる。5座状態でもスクエアなトランクルームは広大だが(カングーよりも視覚的には広く感じる)、リアシートを畳めばさらに大きな空間が出現する。各シートの座り心地も良好で、シートの出来が良いのは、フィアットの隠れた美点。スライド式のリアドアの動作が軽いのも嬉しいところ。いくつか設定されるエンジンのうち、搭載されるのは120psを発生する1.4リッターの直4ガソリンターボ。往年のファンには懐かしい「FIRE」の名称を受け継ぐのは嬉しい。低回転域では少々パンチが足りないが、そのままアクセルを踏めば鋭い加速を見せ、約1.3tの車体を活発に走らせる。回して走った方が楽しいあたり、イタリア生まれの血は争えない。

走りながら思ったのは、これでいろいろな場所に行って、いろいろなことをしてみたいな、ということだ。SUVも同じような夢を与えてくれるけれど、ドゥブロも負けてはいない。キャンプでは荷物を満載しなければならないが、ドゥブロならSUV以上に積める。しかもドゥブロはイタ車だ。往復のドライブだって、むしろ積極的に楽しみたくなる。書いていてワクワクしてきた! ドゥブロには夢も積めるのである。

そして今回もう一台、古いイタリア製“貨客車”の代表として、1962年型「アウトビアンキ・ビアンキーナ・パノラミカ・デカポタビレ」を同時に走らせることができた。アウトビアンキはイタリア最古の自動車メーカーだったが、戦後に経営が悪化。フィアットとピレリが救済を行なったことで、フィアット・ヌォーヴァ500をベースとした「ビアンキーナ」を57年に発売した。ビアンキーナは当初2座クーペのルーフセンターだけが開く「トランスフォルマビレ」でスタートしたが、相次いでカブリオレ、ワゴン、セダンなどのバリエーションを数多く展開した。「パノラミカ」はホイールベースを10cm伸ばし、リアに搭載するエンジンを横倒しして実現したステーションワゴンで、「デカポタビレ」はさらに前席頭上のキャンバストップが開くバージョンだった。このボディを生かした小粋なフルゴンチーノ(商用バン)も同時に作られたが、のちに車体後半に箱を積んだスタイルとなり、69年以降はヌォーヴァ500のバン「ジャルディニエラ」に生産を移行している。

ベースがヌォーバ500だから、ビアンキーナに乗れば運転感覚はそれと大きく変わるところはない。でも後ろを振り返れば、リアシートを倒してトランクを拡げられるワゴンボディを背負っている。500の狭い車内と比べると、その広さは相当なもの。50~60年代のユーザーも、リアハッチからピクニックバスケットや釣り道具を入れてみたい、と思ったに違いない。いや今だって、この小さなワゴンに荷物をいっぱい積んで、22psのエンジンを目一杯回して遠くまで行ってみたいと思う。積むのは、寝袋でもいい。ちょっと古いスーツケースも似合いそうだ。折りたたみ式のテーブルもいいな。そんな風にあれこれと夢想していたら、パノラミカの子孫のドゥブロと、パノラミカが全く同じクルマであることに気がついた。いつの時代でも“貨客車”のトランクには、荷物と夢をいっぱい載せることができるのだ。

FIAT DUBLO 1.4 LOUNGE FIRE T-JET

ドゥブロなら荷物だけでなく夢も満載できる。

ライバルのルノー・カングーの品質を凌ぐダッシュボード。凝ってはいないがデザイン性は高く、イタリア車であることを強く感じさせる。

シートが良いのは昔からのフィアットの美点。商用車ベースのドゥブロも例外ではない。クッションの厚みもあり、サポートも良く長距離の運転でも疲れなさそう。

思いのほか肉厚で、快適なリアシート。全幅が1832mmもあるため、横方向には余裕がある。リアドアは開口部も広く、乗り降りは容易だ。

リアシートは3座独立ではなく、6:4で分割可倒する。ダブルフォールディングすれば、広い荷室が出現。背もたれだけ前方に倒すことも可能。

メーターはアナログの指針式とコンベンショナルなタイプだが、その分視認性は良好。実用車はこれでいい。

1.4 T-JETのトランスミッションは6速M/Tのみの設定でA/Tはない。

「ラウンジ」では、16インチアルミホイールが標準装着される。タイヤサイズは195/60R16。

テールランプ側面には「FIAT」の文字。遊び心が多くて楽しい。

イタリア仕様のラウンジは5種類のエンジンを用意。撮影車には120psを発生する、直4DOHC1.4リッターガソリンターボを搭載。パワーは必要にして十分。

開口部のでっぱりもなく、スクエアで使い勝手が良さそうなトランクルーム。なお本国には「ドゥブロマキシ」と呼ばれる7人乗りも存在。

カングー同様、運転席・助手席の頭上には、使い勝手に優れる棚が設けられている。

感心したのがコレ。ドアに設けられた「ペットボトルホルダー」。斜めに差し込むタイプで、斬新なアイデアだ。

SPECIFICATION
FIAT DUBLO 1.4 LOUNGE FIRE T-JET
全長×全幅×全高:4390×1832×1845mm
ホイールベース:2755mm
トレッド(F/R):1530/1510mm
車両重量:1266kg

エンジン:直列4気筒DOHCターボ
総排気量:1368cc
最高出力:120ps/6000r.p.m.
最大トルク:20.4kg-m/1750r.p.m.
サスペンション(F/R):ストラット/トーションバー
タイヤ(R&F):195/60R16

一回り小さな「クーボ」

フィアットのMPVには、ドゥブロの下に「クーボ」がある。こちらはPSAプジョー・シトロエンに兄弟車がおり、それぞれプジョー・ビッパー、シトロエン・ネモとしても販売されている。最大の特徴は、その小柄なサイズ。全長は約4mで、コンパクトなMPVが欲しい人には気になる存在だ。グレードは「EASY」「ラウンジ」「トレッキング」で、1.4リッターガソリン(ノンターボ)、1.3リッターディーゼルエンジンなどを用意している。なおクーボの商用モデルは「フィオリーノ」である。
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