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雨の日も優雅に走れるクーペ・カブリオレTHE AGE OF “CC”

クーペ・カブリオレ、略して「CC」。オープンカーの開放感に加えて、クーペの美しさと剛性感を兼ね備え、さらに機械仕掛けのギミック感も楽しめる、夢のクルマだ。ミレニアム期、これが爆発的なブームを迎えたのだった。

TEXT / 竹内耕太 PHOTO / 奥村純一

雨の日も優雅に走れるクーペ・カブリオレ

オープンカーの幌を開閉可能なハードトップにしようというアイデアの歴史は古く、1935年のプジョー01シリーズまで遡る。その後50年代にフォードがワイヤー式電動ハードトップを試みたが、耐久性とコストの問題により、歴史からしばらく姿を消す。そしてバブル期の日本メーカーが限定的にいくつかの電動ハードトップ車をリリースしたが、量産車として普及する決定的なきっかけは、1996年に発売されたメルセデス・ベンツSLKと言えるだろう。

1995年にダイムラー・クライスラーとポルシェが設立した合弁会社「カートップ・システムズ(CTS)」が、オープン架装の老舗カルマン社と共同開発した電動リトラクタブルハードトップ(以下RHT)を備えたSLKは大ヒットした。ただし、高級車として。

CCへと至る道

初の電動式ハードトップ車は、歯科医ジョルジュ・ポーランが考案した機構をプジョーが採用し、1935~36年に301、401、402、601(写真)各モデルで「Cエクリプス」として生産。

第二次世界大戦後、フォード・フェアレーン500スカイライナーが、ワイヤー式の電動ハードトップを採用。1957~59年にかけて約4万8千台が生産された。およそ40秒で開閉したという。

時は過ぎて1989年、トヨタの2代目ソアラ(Z30型)に電動ハードトップ搭載の「エアロキャビン」が登場。3.0GTをベースに2人乗りとした500台のみの限定車だった。

1992年に発売されたホンダの3代目CR-X“デルソル”は、タルガトップスタイルの電動ハードトップ「トランストップ」を採用。電動以外に、手動の仕様も用意されていた。

三菱GTOの北米モデル3000GTは、1995年に電動ハードトップの「リトラクタブルハードトップ」がオプションで設定され、96年までの期間にごく少数だけ販売されていた。

1996年にメルセデス・ベンツが発売したオープン2シーターのSLKは、大量生産車として初めて電動ハードトップを標準搭載。開閉機構はCTSが製造し、カルマン社が組み立てた。

われら一般大衆でも身近に電動ハードトップを楽しめるようにしてくれた記念碑は、何といっても、プジョー206CCだ。こちらの電動RHTを担当したのは、シトロエンCXやXmやエグザンティアのブレークを手掛けていたフランスの老舗カロッツェリア・ユーリエ社。206CCは同社のセリゼ工場で生産され、生産台数約35万台という、趣味性の高いオープンカーとしては異例のスーパーヒットを記録したのだった。

今回、プジョー・スペシャリストの大貫自動車から206CCをお借りしてみると、日本で売れまくったおなじみ206の愛嬌ある顔と、精悍なクーペスタイルが融合した佇まいは、今でも十二分に魅力的。当日は幸か不幸か雨天で、ソフトトップ車なら雨音響く車内でじっと忍耐するしかない日和だったが、CCであれば、最初からクーペだったかのように涼しい顔をして、カーオーディオに耳をすませていればいい。

ハッチバックの206より120kgも重くなっている分、走りのキビキビ感は当然少しスポイルされているが、206のネコ足感はしっかり味わえる。小さなクルマで、晴れたらオープン、雨ならクーペと、気持ちのスイッチを切り替えながらドライブ。プジョーらしい小粋さがたまらない。

206CCの好調を受けて、上位モデル307にも2003年からCCが追加された。こちらの電動ハードトップ機構は、ベンツSLKを手掛けたドイツCTS社が担当。ユーリエ社のラインは206CCで埋まっていたためだろう。

307CCはCセグメントゆえ、ルーフを閉じた姿は、初めからクーペとして設計されたと思えるほど違和感のない流麗なスタイル。206CCの後部座席は、「+2」と呼ぶにも狭すぎるシロモノだが、307CCなら、それこそ屋根を開ければ4人乗りでドライブも可能だ。これも通常モデルより優に100kg以上重いのは、もはや宿命だが、しっとりした乗り味に調整されていて、エレガンスを旨とする307CCの性格にはマッチしていた。

これらプジョーの成功に対抗してルノーが2003年に投入したのが、2代目メガーヌのCC(日本では「グラスルーフカブリオレ」の名で販売)である。後発ながら、カルマン社が開発したガラス製の電動RHTがセールスポイントだった。エクステリアこそやや野暮ったいものの、中に入るとゆったりしたシートの上質感と、クローズド状態でも明るい車内の雰囲気が相まって、ゆったりした気持ちにさせてくれる。1500kgを超えた車重に対してこの時期のルノーの2リッター直4NAエンジンは十分なパワーとは言い難いのだが、少し硬めにされたサスペンションとのバランスが絶妙で、モッサリ感は薄い。風景を眺めながらゆったり流す分には、メガーヌCCが一番味わい深いかもしれない。

後日譚だが、206CCのユーリエ社は、その後、オペル・ティグラ・ツイントップの生産に着手するも、同車の販売不振で傾いて2007年に破産。カルマン社はリーマンショックの影響を受けて2009年に倒産。ついでに207CCを手掛けたドイツのサプライヤー・エドシャ社も2009年に破産し、カブリオレ部門はベバスト社に引き取られている。ドイツのCTS社は2005年にカナダの大手サプライヤー・マグナ社が買い取り、マグナCTSとして今も残っている。

ことほどかように、電動ハードトップを大衆化しようという試みは、商業的には成功せず、今や結局、ほとんど高級車専用装備のようになってしまっている(ダイハツ・コペンは偉大なる例外!)。

そんな2000年代前半のCCたちは、中古車市場でもレア車になりつつある。状態良好でオトクな個体を探すなら、今が最後のチャンスなのだ!

PEUGEOT 206 CC

CCを身近な存在として普及させた大立役者
小型ハッチバックの206をクーペスタイルにしたため、一見して腰高感が否めないが、それもまた愛嬌として許せてしまう、愛すべきキャラクター。
ユーリエ社製電動ハードトップは、ルーフ前端のフックを手で2か所外してスイッチで操作し開閉。
タイヤはノーマルの206より1インチアップし、前後とも195/55R15。重量増に対応してサスペンションも強化されている。
クローズド状態の時は、ラゲッジの容量なんと410リッター。普通の206が245リッターと言えば、隠れた実用性の高さが窺われよう。
1.6リッター直4 DOHCエンジンに組み合わされる4速A/TはAL4。購入時にはコンディションを確認したい。
コクピットは206とほぼ同じながら、206CCの着座位置はノーマルと比べて25mm低く設定されている。そのためオープン走行時の包まれ感が強い。
お借りした車両はレザーシート仕様。ホールド感はグッド。
後部座席は、手荷物置き場と割り切るべき。子供でもかなり厳しいかと。

SPECIFICATION

PEUGEOT 206 CC

全長×全幅×全高:3810×1675×1380mm

ホイールベース:2440mm

トレッド(F/R):1430/1425mm

車両重量:1210kg

エンジン形式:直列4気筒DOHC

総排気量:1587cc

 

最高出力:108ps/5800r.p.m.

最大トルク:15.0kg-m/4000r.p.m.

サスペンション(F/R):ストラット/トレーリングアーム

ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ディスク

タイヤ(F&R):195/55R15

PEUGEOT 307 CC

クーペとしての完成度も高いオトナのCC
厭味のない流麗なフォルムのクーペ姿。室内の静粛性もまさしくクーペクラスで、きわめて快適だ。
室内のスイッチをワンタッチで25秒で開閉。物件探しの時には、モーターのヘタリがないか確認を。
307CCの他のグレードは16インチが標準だが、取材したS16だけ17インチ。
クローズ時のラゲッジ容量は350リッターで、ハッチバックよりも7リッター大きい。ルーフを収納した際でも240リッターの容量が使える。
307のエンジンは1.6リッターと2.0リッターの2種あるが、307CCは2.0リッターのみの設定。取材車のS16は最高出力が137psから177psまでアップしている。
取材車は上位グレードのS16で、レザーやアルミの加飾が高級感を盛り上げる。エレガントな雰囲気という点では、今回集めた3モデルの中で抜きんでていた。
307CCではベースグレードでも本革シートが標準装備されていた。
リアシートは足元にどうにか隙間があり、クローズ時は天井が窮屈だが、オープンにすれば意外と快適に過ごせる。

SPECIFICATION

PEUGEOT 307 CC S16

全長×全幅×全高:4380×1760×1435mm

ホイールベース:2610mm

トレッド(F/R):1500/1510mm

車両重量:1490kg

エンジン形式:直列4気筒DOHC

総排気量:1997cc

 

最高出力:177ps/7000r.p.m.

最大トルク:20.6kg-m/4750r.p.m.

サスペンション(F/R):ストラット/トレーリングアーム

ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ディスク

タイヤ(F&R):205/50R17

RENAULT MEGANE II CC

シートに座ればドライバーは詩人に変わる
スタイルこそ大人しめだが、メガーヌCCの本領は、ゆったり走る時のフィールの良さにある。
ハードトップの開閉はワンタッチで22秒! ルーフ部分はガラス製で、まさに技術の進歩の賜物だ。
取材車は2007年のMC後の2009年式で、7本スポークの17インチアルミホイールを履く。
ルーフを閉じた時のラゲッジ容量は490リッターあり、純粋なクーペとしても優秀な実用性。オープン状態でも190リッターが確保される。
ルノーの2.0リッター直4エンジンは吹け上がりが良いわけではないが、低回転から安定したトルクを発揮し、普段走りなら十分。
デザイン的に尖ったポイントは無いものの、水平基調にすっきりまとまり、「しつらえ」の良さが光るコクピット。
ハッチバックよりシートポジションが24mm低くなっているため、バスタブ的な包まれ感もあるが、前方視界には支障がない。
リアシートは307CCと同様のサイズ感で、オープン状態であれば4人乗ってのドライブも楽しめる。

SPECIFICATION

RENAULT MEGANE II CC(後期型)

全長×全幅×全高:4380×1775×1405mm

ホイールベース:2520mm

トレッド(F/R):1520/1515mm

車両重量:1530kg

エンジン形式:直列4気筒DOHC

総排気量:1998cc

最高出力:133ps/5500r.p.m.

最大トルク:19.5kg-m/3750r.p.m.

サスペンション(F/R):ストラット/トレーリングアーム

ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ディスク

タイヤ(F&R):205/50R17

豪華絢爛00年代CCカタログ

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