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クールなアルピーヌか、熱いアルファロメオかALPINE A110 & ALFA ROMEO 4C

ついに復活を遂げた新型アルピーヌA110と、アルファロメオ4Cクーペには、スポーツカーとしての成り立ち、パッケージングなど、意外と共通点が多い。そこでこの2台の違いを明らかにするべく、ワインディングへと連れ出してみた。

TEXT / 石井昌道 PHOTO / 神村 聖
SPECIAL THANKS / アルピーヌ・ジャポン(https://www.alpinecars.jp), アルファロメオ横浜町田(https://yokohama-machida.alfaromeo-dealer.jp/alfaromeo/

クールなアルピーヌか、
熱いアルファロメオか

2018年に日本上陸を果たしたアルピーヌA110。その上陸前に開催された国際試乗会のQ&Aセッションで、ライバルは? と質問したところアルピーヌ側は「とくに他を意識してはいない」と答えていたが、アルファロメオ4Cと共通項が多く、比較対象として興味深いのは確かだろう。ロータス・エキシージもライトウェイトなミッドシップクーペという共通項はあるもののV6スーパーチャージャーはパワフルすぎる。開発の現場やマーケティング的にはポルシェ718ケイマンへの対抗意識が強いように思えたが、重量級だ。

A110は車両重量1100kg(ピュア)/エンジンパワー252psで0-100km/h加速4.5秒、対する4Cは1050kg/240psでやはり4.5秒。ボディの素材にカーボンを使う4Cのほうがやや軽いもののエンジンのパワー差で加速は同等。まさにがっぷりよつなのだ。

2台を並べると4Cのワイド&ロー感が際立つ。A110に比べて全幅は70mm広く、全高は65mm低く、まるでレーシング・プロトが公道に飛び出してきたかのような印象を受ける。A110の方は全長が215mm、ホイールベースが40mm長い。ルーフラインが後方へむけてなだらかに下がっていく伸びやかなフォルムがエレガント。長大なディフューザーによってリアのダウンフォースを獲得して、この美しいスタイルを実現したという拘りようだ。

乗り込む際にも両車の違いは表れる。4Cは身体を滑り込ませていく感覚でレーシングカー的。A110は低いけれど比較的楽に乗り込める。インテリアでも4Cはカーボンファイバーが剥き出しだったりしていい意味での武骨さの演出がなされているが、A110は洗練された空間。4Cは純粋にドライビングを楽しむためのモデルであり、A110はそれに加えて日常をエレガントに彩る気遣いがなされている。

走り始めてみても4Cはレーシングカーのようだった。背後から聞こえてくるサウンドは迫力に満ちていて、アクセルペダルを煽るのが楽しくてしょうがない。高効率な直噴ターボは、いい仕事をするものの情緒や官能などはあまり期待できないものだが、速く走らせようという意志がヒシヒシと伝わってくるのが心に響く。綺麗に調律された調べとはほど遠く、バックファイヤー的な野蛮なサウンドなのだが、それがあたかもコンペティションマシンを操っているようで興奮するのだ。

シャシー性能もピンポイントで速く走らせようとするイメージだった。サスペンションは引き締まっていて、ちょっとやそっと攻めたぐらいではオン・ザ・レール感覚でコーナーをクリアしていく。ただし、公道のワインディングでもペースをあげていくとだんだんとアンダーステア傾向になっていく。また、路面の荒れなどに対して過敏なところもある。とくにフロントタイヤがとられて、意図しない方向へいきそうになるので修正を強いられることもしばしば。サーキットの綺麗な路面に合ったセッティングなのだろうと推測できる。この傾向は高速道路を普通に流して走っているときにも顔をだすので、いつでもステアリングを修正する身構えはしておく必要がある。

A110に乗り換えると、適度にタイトでスポーティなコクピットではあるものの4Cほどスパルタンではなく、贅沢なクーペに乗っている感覚が強かった。インテリアの仕立てもそうだが、Aピラーの角度が寝かせられている視覚的な影響もあるように思う。エンジン・サウンドは4Cほど爆音ではなく上品だが、刺激は十分。直噴ターボらしい低回転域の太いトルクがありながら5000r.p.m.以上でも伸びやかに吹き上がっていく。

サスペンションは4Cとは対象的にストローク感がたっぷりとあってスポーツカーとしては乗り心地がいい。そのソフトさがコーナーを攻めたときに物足りなくなるのでは? と勘ぐりたくなるほどなのだが、それはまったくの杞憂だと思い知ることになる。

それなりのペースでコーナーへ進入していくと、拍子抜けするほどにあっさりと狙ったラインにのって駆け抜けていってしまう。半ばムキになってペースをあげて攻め立てても、アンダーステアらしきものが顔を出さず、ひたすらにニュートラルな感覚でコーナーをクリア。4Cはリア・サスペンションがマクファーソンストラットだが、A110はダブルウィッシュボーン。それによる容量の差があって、A110は俊敏なハンドリング特性を持たせても破綻のないスタビリティを確保できているのだろう。何らかのアクションを起こせばリアがブレークしそうだがじつにコントローラブル。これぞライトウエイトなミッドシップ・スポーツの理想的なハンドリングだろう。

路面が荒れたワインディングではさらに圧巻だった。しなやかにストロークするサスペンションが、大きなギャップやうねりを収束してボディをフラットに保ちながら見事な姿勢でコーナーの連続を駆け抜けていく。路面のミューの変化にも強く、挙動変化は最小限だ。4Cは路面が荒れてくるにしたがって少しずつペースを抑えざるを得ないが、A110はむしろ自信が沸いてきてもっと攻めたくなる。

前後重量配分は4Cが40:60でA110は44:56。前者はトラクション重視で後者はハンドリングのバランス重視とみることができる。また、リア・サスペンションの違い、設計年次が4~5年違うからA110の方が進歩的ではあるだろう。ただ、2台は似ているようで、コンセプトの違いが差を生み出している。4Cは綺麗な路面のサーキットを攻めるレーシングカー的で、A110はデイリーユースにも気を使いつつ、荒れた路面にも強いラリーカー的な特性が強い。よってストリートでのスポーツカーとしてはA110が適しており、エレガントな佇まい、視界を含む利便性などで優位に立つ。将来的にはA110にもサーキットにフォーカスしたモデルが出てくるだろうが、底知れぬポテンシャルの高さゆえ、ハードに引き締まったサスペンション・セッティングとしてもネガがほとんど出ないだろう。新生アルピーヌの今後にも期待したいのだ。

ALPINE A110 PURE

アルミを多用し軽量・高バランスを実現

1100kgという軽さを追求するために、ボディには極力アルミが使用され、実に96%をアルミで作ったというのだから恐れ入る。残りの4%に当たるのはルーフと前後バンパーで、その部分は樹脂製となる。ボディの組み付けにはリベットと接着剤が用いられる。

252ps/32.6kg-mを叩き出す直4ターボエンジン。扱いやすい反面、ドラマ性に欠ける面も。

強大なダウンフォースを生むリアディフューザーのセンター部分には特徴的なマフラーが備わる。

ピュアに標準装備されるホイールは、18インチのスプリットタイプの5本スポークデザイン。

現代のスポーツカーらしい機能的なコクピット。いかにもフランス車らしいソフトな握り心地のステアリングが備わる。

ピュア・グレードでは、リクライニング機能のないシートが標準となるが、それが気にならないほど快適な座り心地。

センターコンソールには、スターターとシフトボタンをメインに、ウインドウ操作やサイドブレーキなどが集約されている。

SPECIFICATION
ALPINE A110 PURE
全長×全幅×全高:4205×1800×1250mm
ホイールベース:2420mm
トレッド(F/R):1555/1550mm
車両重量:1100kg
エンジン形式:直列4気筒DOHC+ターボ
総排気量:1798cc

最高出力:252ps/6000r.p.m.
最大トルク:32.6kg-m/2000r.p.m.
サスペンション(F&R):ダブルウィッシュボーン
ブレーキ(F&R):ベンチレーテッドディスク
タイヤ(F/R):205/40ZR18/35/40ZR18
ホイール(F/R):7.5J×18/8.5J×18
価格:790万円~

ALFAROMEO 4C COUPE

カーボンモノコックが生む驚異の高剛性

乾燥重量895kgを謳うボディは、カーボンモノコックをはじめ、FRP新素材の外板やアルミのサブフレームを採用。徹底した軽量化と極限までの高剛性を求めて設計されている。実際のところの車両重量は、日本仕様ではエアコンが標準装備となり1050kgとなっている。

240ps/35.7kg-mのパワー/トルクを絞り出す1.75リッターの直4ターボユニット。

4Cのリアディフューザーは控えめなデザインとなる。マフラーは左右出しのレイアウト。

標準ではF17/R18インチだが、撮影車両はスポーツパック仕様でF18/R19インチとなる。

直立したステアリングやタコメーターが大きくレイアウトされるなど、スパルタンで戦闘的な雰囲気の4Cのコクピット。

レーシーなデザインながら快適さも犠牲にしていないシート。構造体には複合材を採用し軽量高剛性を実現している。

センターコンソールには走行モードの切り替えを行うDNAレバーの他、シフトボタンやウインドウスイッチ等が備わる。

SPECIFICATION
ALFA ROMEO 4C Coupe
全長×全幅×全高:3990×1870×1185mm
ホイールベース:2380mm
トレッド(F/R):1640/1605mm
車両重量:1050kg
エンジン形式:直列4気筒DOHC+ターボ
総排気量:1742cc

最高出力:240ps/6000r.p.m.
最大トルク:35.7kg-m/2100-4000r.p.m.
サスペンション(F/R):ダブルウィッシュボーン/ストラット
ブレーキ(F&R):ベンチレーテッドディスク
タイヤ(F/R):205/45R17/235/40R18
ホイール(F/R):7.0J×17/8.0J×18
価格:786万円~

PROFILE/石井昌道

ティーポ出身の自動車ジャーナリスト。日本国内だけでなく、世界のモーターショーにも顔を出し、スポーツカーだけでなくエコカーなどにも造詣が深い。愛車はBMW 320dとアルピーヌA110の2台持ち。