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自動車型録美術館

シムカ1200SSIMCA 1200S

古今東西の自動車カタログをご紹介します。

TEXT / 板谷熊太郎

南仏あたりでこんな一台と暮らしてみたい

小さい頃からクルマが好きだと、特段の理由もなく、ただ何となく気に入っている、というクルマのひとつやふたつはあるものです。シムカ1200Sもそのようなクルマの一台です。

■ 頭のなかの引き出し

少年時代、クルマの情報源は、カーグラフィックや新聞社が発行する世界の自動車といった年鑑の類でした。モノクロームが主体の二次元画像から好きか嫌いかをかぎ分けることになります。エンジン音もわからず、大きさの具体的イメージすらない状態での判断は、専ら見た目の印象だけが頼り。そうして好みという網で掬われたものだけがフランス車とかイタリア車といった頭の中にある引き出しに収められていくのです。

■点と線

シムカは長い間フランス車という大きな引き出しのなかにあるひと粒の点にしかすぎませんでした。それがある日、ごくごくひょんなことから、イタリア車のなかの点にすぎなかったASA1000GTと、どこか似ていると頭のなかで出逢ったのです。点が線になった瞬間でした。調べてみると、はたしてその二台はジウジアーロで繋がっていたのです。こうして点は線になり面となって、ジウジアーロという新たな引き出しを形成するようになりました。

■イタリア好き

根源的な嗜好の部分に戻ると、1200Sが好きだった理由がわかりました。この頃のシムカはフランス車というよりイタリア車なのです。

(初出カー・マガジン501号/連載第49回)

シムカがイタリアと深い縁のある会社だということは、大人になるまで知りませんでした。1963年にクライスラーが買収する前のシムカは、イタリア人が起業したフィアット・フランスとも呼ぶべき会社でした。どうりでアバルトシムカ1300や2000など、アバルトとの相性も良いわけです。 そのような事情も知らず、写真からの情報だけで好きになった1200S。こどもの嗜好とは、実に純粋かつ素直で正直なものだと、大人になりきってしまった今、懐かしく思ったりしています。こどものような純真さを大切にしなければならない職業があります。そのひとつが自動車のデザイナー。ルノーデザインを率いたルケモンさんも、1200Sを好きなクルマの一台に挙げていたようです。

●内容:250mm×248mm 20p

シムカでまず思い出されるのはアバルトです。数あるアバルトのなかで、アバルト・シムカ1300、そして2000は、最も好きな一台です。アバルトの他にもあります。それはマトラ・シムカ・バゲーラです。3人が横一線に並ぶ3座席という特異なレイアウトを特徴としたクルマで、続くムレーナも同じような3座席でした。ムレーナのカタログはきれいなので気に入っています。いずれ、それらに因んだカタログたちも、こちらで紹介したいと考えています。

プロフィール●板谷熊太郎
幼いころからのクルマ好き、実車よりもカタログや書籍などの紙モノに魅かれる変わり者。姉妹誌モデル・カーズにも『自動車博物記』を連載中。