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愛しの"グラン・ルノー"は隠れた名車RENAULT KADJAR

残念ながら短い期間の日本導入となってしまった、隠れた名車がある。それがいわゆる"グラン・ルノー"、カジャーだ。ルノーはエスパスなどに代表される大柄のモデルにも名作が多く、実はこのカジャーもその血筋にあるのではないか、という仮説の元にセレクト。ルノー・アヴァンタイムを所有する森口氏による、愛情の籠もったレポートをじっくりとご覧頂きたい。

TEXT / 森口将之 PHOTO / 山本佳吾
SPECIAL THANKS / ルノー・ジャポン(https://www.renault.jp/

愛しの”グラン・ルノー”は隠れた名車

一度味わうと離れられなくなる

これまで数え切れないほど多くのルノーに接してきた。ここ17年ほどは自身の愛車であるアヴァンタイムをドライブしつつ、ロザンジュ(菱形)のエンブレムを掲げる新旧のクルマたちを味わうという体験を続けてきた。

フランス車の名作は小型車に多いと言われる。たしかにルノーにおいても、800万台以上が作られたベーシックカーのキャトル(4)、ゴルディーニ・チューンのエンジンを積んでモータースポーツで活躍したユイット(8)から現在のトゥインゴやルーテシアまで、多くのヴォワチュレットが個性的なデザインと完成度の高い走りで僕たちを魅了してきた。

でも個人的には大柄な”グラン・ルノー”にも惹かれている。ミドルクラスにいち早くハッチバックを持ち込んだ16、1980年代のフラッグシップ25、欧州初のミニバンだったエスパスなど、すぐに数台を思い出すことができるほど名優ぞろいだ。21世紀になってから正規輸入された車種で言えば、ラグナ、グランセニック、コレオスなどが相当する。

こうしたクルマたちは、小型のルノーでも我々を感銘させてきた盤石の直進安定性やフラットな乗り心地を、車格に合わせて最上レベルにまで引き上げていた。そのフィーリングをひとことで言えば”極上”であり、見た目は地味(失礼)かもしれないけれど、一度味わうと離れられなくなってしまう。

キャプチャーのひとクラス上のSUVとして2017年に100台が限定販売され、2018年にカタログモデル入りしたカジャーには、その資質があると個人的に思っている。

エクステリアは煌びやかなクロームメッキで上級車種であることをアピールしているわけではない。ルーテシアを3方向にそのまま拡大したような雰囲気を受ける。でもじっくり観察すると非凡な造形だと思えてくる。特にアーチ以外にプレスラインを使わず、ダイナミックなフェンダーラインを表現しきった技は素晴らしい。

インテリアもそうで、黒基調で整えられた空間は光り物が最小限に留められ、スイッチもこのクラスとしては少なく、シンプルにまとまっている代わりに、操作性は類を見ないほど。ルノーに乗り慣れてきた者にとっては、ステアリング周辺のクルーズコントロールやオーディオコントロールの操作系は不変で、簡潔かつ明瞭であり、これ以上のインターフェイスにはなかなか出会わない。

キャビンは3方向に広がりがあって開放的。SUVというよりルノーが得意とするミニバンやハイトワゴンの経験が生きているような気がする。後席は身長170cmの僕なら足が組め、後方の荷室は前後2分割のフロアボードを上下2段階にセットしたり、立てて仕切りにしたりできる。昔のルノー16の変幻自在のシートアレンジを思い出した。

感心するしつけの良さ

このボディを動かすのはわずか1.2リッターの直列4気筒ターボエンジンである。つまりひとクラス下のルーテシアやキャプチャーと基本的に同じだ。でもデュアルクラッチ・トランスミッションが6速から7速になったうえに、車両重量が1410kgとサイズのわりに軽いので加速に不満はない。

さらに感心するのはしつけの良さだ。これは今に限った話ではないが、唐突感を一切出さない素直な反応なので、長旅をストレスなくこなせる。F1やWRCなどで早くからターボを手がけてきた経験が今に生きている。実用燃費は12.5km/リッターぐらいと、ボディのボリュームを考えれば悪くない。

ホイール/タイヤは19インチと、当時正規輸入されていたルノーでもっとも大径だ。そのためもあって低速ではゴツゴツした感触が残るものの、体にはほとんど響かない。たっぷりしたサイズと厚さを持つシートが第2のサスペンションとして細かいショックを吸収してくれるからだ。そして速度を上げていくとルノーならではのフラットライドが主体となって、直進性は盤石。日本全国どこへでも行けそうな気分になる。

コーナーさばきも安心していられる。軽いノーズとワイドなトレッド、太いタイヤのおかげもあるが、メガーヌで4コントロールを違和感なく取り込んだ新世代プラットフォームの実力が、カジャーでより明確になった。つけ加えればやはり、ルノーは背の高いクルマの走らせ方を知っている。貨客両用のカングーに驚きの走りを盛り込んだ集団にとって、カジャーに素晴らしいハンドリングを与えることは朝飯前だったのかもしれない。

SUVとして見ると、4WDでないことやオフロード走行モードを持たないことなどが気になる人もいる。しかしこれをグラン・ルノーと捉えればイメージは一変する。似たようなクラスの車種を知る人なら、ルーテシアやキャプチャーのさらに上をいく、極上の快適性や安定性を届けてくれる存在であると、好意的に解釈するはずだ。

決して個性派を気取る内装ではないが、日常使いに優れる室内。

クッションの厚いシートは長距離ドライブでも疲れが少なくルノーの面目躍如。

2+1人掛けといった雰囲気のリアシートは充分なスペースとなる。

日本に導入されたエンジンは1.2リッター4気筒ターボ+デュアルクラッチの1本ながら、動力性能としては十分。速さよりは実用的な使いやすさを重視した仕様だ。

ラゲッジスペースは、6:4の可倒式リアシートと写真では1枚だけ外してある2枚のラゲッジボードの組み合わせで、アレンジの数はかなりの多さとなっている。

今回森口将之氏に挙げてもらったカジャーのチェックポイントはこの3点。まずは一見地味なように感じるデザインの中で、ダイナミックなリアフェンダーライン。残念ながらナビは標準ではないものの、カラーテーマを変更できるディスプレイ。操作方法がほとんど変わらずルノー・オーナーがとても使いやすいクルーズコントロールのスイッチとなる。

SPECIFICATIONS
RENAULT KADJAR
●全長×全幅×全高:4455×1835×1610mm
●ホイールベース:2645mm
●トレッド(F&R):1560mm
●車両重量:1410kg
●エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ
●総排気量:1197cc

●内径×行程:72.2×73.1mm
●圧縮比:9.5
●最高出力:131ps/5500r.p.m.
●最大トルク:20.9kg-m/2000r.p.m.
●変速機:7速A/T(EDC)
●懸架装置(F/R):マクファーソンストラット/トーションビーム
●制動装置(F&R):ベンチレーテッドディスク/ディスク
●新車当時価格:347万円

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