70年代欧州商用モデルたちの饗宴

<欧州ハイルーフサミット>

EUROPEAN HIGHROOF #02

堅実、頑強、実用的なドイツ流商用車 1974 VOLKSWAGEN TYPE2

続いては、ドイツを代表するメーカー『フォルクスワーゲン(VW)』から『タイプ2』にご登壇いただこう。一般的にはワーゲンバスなどの愛称で親しまれる商用モデルで、VWタイプ1、通称ビートルのパワートレインを利用して1950年に誕生した。当初は細かく分割したサイドウインドウと金太郎腹掛けに似た顔のクラシカルなスタイルだったが、1967年に北米向けの安全対策などを盛り込み、内外装を大幅に近代化した『タイプ2 2″』に発展。タイプ2の後期型という意味でレイトバスとも呼ばれている。T21979年まで製造されたが、その間テールランプを大型化した中期型(1972年~)、ヘッドライト上にウインカーを移設した後期型(1973年~)に分類できる。この個体は1974年モデルなので後期型に属するが、レイトレイトと呼ばれることもある。

サミットに参加したT2ハイルーフは、空冷VW界のリーディングショップ『FLAT4』のデモカーで、美しいボディコンディションを保つ。ピンストライパーによる美麗な文字、ポルシェタイプのアロイホイールなど西海岸風スタイルがポイントだ。ベースが北米仕様なのも効いている。さらにすごいのがエンジンで、FLAT4がプロデュースする『RLR製ターボチャージャーKIT』をボルトオン装着。ノーマルの1.6リッターフラット4エンジンの最高出力50psに対し、倍以上の数値となる108psを叩き出している。見慣れた”ゆっくり発進するT2“とは全く異なる、眼が覚めるような加速を見せてくれるのだ。

また、このT2はデモカーだけでなくFLAT4のサービスカーとしてごく普通に使用されているという。6070年代のクルマでも整備をきちんとすれば問題なく日常使用ができるのも、空冷VWの好ましい所だ。頑強な車体・堅実でシンプルな設計・優れた実用性も、空冷VWの美点だろう。

改めてハイルーフ部分に注目してみよう。ズバリ、とても背が高い。ノーマル比で+350mmの約2.3mもある。ルーフ部はFRP製で、さらにこの個体ではフロントシートから車内後部に歩いて移動できるウォークスルー構造を持ち、スライド式サイドドアの上部も延長しているのが特徴だ(ハイルーフでもドアはノーマルのままというモデルもある)。ちなみにドイツ語でハイルーフは“Hochdach”と呼ぶ。ホーフダッハ! ドイツ語カッコイイ!

ハイルーフ化したことでラゲッジスペースでは完全に立つことができる。エスタフェのページでも触れたが、屈むのと立つのとでは、体への負担が全然異なるのだ。ハイルーフモデルでは標準装備となる棚も、見るからに便利そうである。T2RRのためエンジンルーム分のスペースが取られてしまうが、それ以外の床はフラットで、積載性は十分といえる。ハイルーフモデルではなおのことだろう。

VWタイプ2にも、当時のドイツ車=VWのクルマ作りがよく反映されていた。お国柄、メーカーの違いって本当に面白い!

VWタイプ1″ビートル”を元に生まれたタイプ2は、1967年には近代化したT2に進化。いわゆる“レイトバス”と呼ばれる世代だが、この個体は1973年以降の改良型『T2b(レイトレイト)』にあたる。
ハイルーフ部の素材はFRP。ノーマル比で350mm高く、全高は2290mmもある。
世界的に有名なピンストライパー、ワイルドマン石井氏の手で描かれたレタリングに目を見張る。
ヘッドライト上に置かれたウインカーは1973年型以降の証。
ポルシェタイプのFLAT4オリジナルアロイホイールがよく似合う。
FLAT4が販売する『ターボチャージャーKIT』を装着した1.6リッター空冷フラット4。50psから108psまでパワーアップ。
リアハッチは上方跳ね上げ式で、RRのためエンジン収納部を避けて開く。大型のテールランプは、T2の中期型から採用。
ハイルーフのため車内で立つのもラクラク。ドアもハイルーフに合わせて上に延長してあり、乗降時も屈まないで済む。
鉄板むき出しだったタイプ2 “T1”に比べると、ぐっと近代的になったT2のダッシュボード。メーターパネルとグローブボックスを交換するだけで、左右ハンドル仕様を容易に作り分けることが可能。
ハイルーフのため運転席上の空間も広大。ベンチレーターも設けられている。
シンプルなメーター類。隣接した空調コントロールは使いやすい。
前2座は独立でウォークスルーも可能な仕様。RRのメリットを生かした設計。

SHOP INFORMATION

FLAT4

空冷VWのスペシャリストとして有名なFLAT4は、世界のVW界を牽引する老舗ショップ。ミュージアムを設けるなどVW文化の継承にも力を入れている。
www.flat4.co.jp

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