LOTUS SEVEN Sr.2 1960〜シリーズ最強の万能プレイヤー

イギリス(UK) ロータス(LOTUS) 60年代 クラシックカー セブン コスワース
"ロータス・セブン"と聞いて、多くの人が思い浮かべるのがこのシリーズ2ではなかろうか。50年代クラブマンレース・シーンの香りを十分に残しつつ、ロードカーとしての資質にも磨きをかけ、海外への輸出も積極的に行ったのが、このシリーズ2の時代。ヒストリックカーの達人・薄葉さんとカー・マガジン誌編集長、セブンに魅せられたふたりのクルマ好きが語る、シリーズ2。 
TEXT:長尾 循 PHOTO:神村 聖
SPECIAL THANKS:リーフガレージ(http://www.leaf-g.co.jp

数々のレーシング・ミニやエランで、ヒストリックカー・レース界を席巻して来たリーフガレージの代表・薄葉さん。そんな薄葉さんから「うちのロータス・セブンでレースに出てみない?」とお声がけいただき、袖ヶ浦フォレスト・レースウェイで開催されている『サイドウェイトロフィー』に参加させてもらったのは2018年6月のこと。

今回の企画に合わせ、そのシリーズ2セブンを肴に、改めてヒストリックカーのスペシャリストとしての視点からロータス・セブンの何たるかをお話ししていただこうと考え、リーフガレージを訪ねたわけである。そこには、半年近く前に袖ヶ浦を走ったセブン・シリーズ2のレーサーが、またいつでも出撃出来る準備を整えつつ、静かにガレージに鎮座していた。

「ナガオくん、そう言えば改めて、この前のレース、どうだった?」

もちろん久しぶりのサーキットはとても楽しかったし、いろいろ勉強させていただいたわけだが、とにかくこのシリーズ2、ロータス・スーパーセブン1500コスワース”リーフガレージ・スペシャル”のしっかりとした仕上がりには大変感心した。

歴代セブンに対する個人的な印象として”シリーズ1は4輪のモーターサイクル”、”シリーズ2は4輪の競技用自転車”、”シリーズ3はまぁまぁスパルタンなスポーツカー”、”シリーズ4はよく出来たスポーツカー”というものがある。

ひと口に”ロータス・セブン”といっても、その乗り味やキャラクターはシリーズごとに結構異なり、さらに言えば同じシリーズでも、搭載されるエンジンによって、これまただいぶ印象が異なる。

ちなみに自分の乗っているケント・ユニット搭載のケータハムは”まぁまぁスパルタンな実用スポーツカー”という感じ。

「確かにシリーズ2は繊細で神経質な傾向があるので、サーキットでも安心して走れるように、4輪のコーナーウェイト・バランスをきちんととるなど、いろいろ手は入れてあるよ」

緻密な作業で仕上げられたコスワース116Eエンジンを始め、ストレートカットのミッションやLSDなどの機械部分、さらにはヒストリック・レーサーとしてのイメージを損なわない範囲で、走行中の風圧と”恐怖心”を軽減してくれるサイドカーテン、ワンオフで作られた手曲げのロールバーなどが装備された外観まで、バランスよく仕上げられている、シリーズ2レーシング。

一般的に、サーキット走行にフォーカスして仕上げられたクルマというのは、得てして街乗りには不向きとなりがちだが、もともとサーキットの方角を向いて生まれたセブンに関して、それは当てはまらない。実際、このクルマで市街地や国道を走る機会もあったのだが、それはかつての記憶にある”線の細いデリケートなスポーツカー”ではなく”自宅からサーキットまで自走して、レース後にはまた自走して帰宅できる、しっかりとしたノリモノ”であった。しっかりと仕上げられたセブンは、実はどこで乗っても楽しい。

長年にわたって数多くのヒストリックカーを手掛け、レースの世界でも活躍して来た薄葉さん。このシリーズ2セブンはコスワースの1.5リッター・モデルだが、実は薄葉さんはこのコスワース・エンジン搭載車の前にも、Aタイプ・エンジンを搭載したシリーズ2セブンに17〜18年程乗っていた時期もあった。やはり公道からサーキットまで含めて、”ロータス・セブン”と言えばシリーズ2に止めを刺すのだろうか?

「というよりも、やはりシリーズ1は別格の存在。絶対的な台数も少ないし。で、現在ヒストリックカー・レースへの参加まで含めて考えれば、105、109、116など、豊富なエンジン・バリエーションや様々なノウハウから、やはりシリーズ2の出番が多くなるということじゃないかな」

そしてシリーズ3や4の時代になると、セブンは”アマチュア・レーサーのための軽戦闘機”という直截的なポジションから、”その伝統を今に伝える、かつてよりもロードユース寄りのスポーツカー”へと、そのスタンスを微妙に変化させていったから、最も”ロータス・セブンらしいセブン”として、多くの人々が真っ先にシリーズ2を思い浮かべるのは、ある意味で当然と言えるだろう。

「シリーズ2に限った話ではないけれど、カニ目やミニ、エランなどと比べても、セブンは”非日常”な存在だよね。例えばエランはクルマとしてのバランスがとてもよくて、優等生的。一般的な意味で”究極のスポーツカー”と言えるけれど、セブンはそれとは全く異質。うちの知り合いでもMGミジェットのMk.1とセブンの2台をずっと持ち続けている人がいるし、ナガオくんがずっとケータハムに乗り続けているのも、単に速さだけじゃない、他では得られないセブンのキャラクターにハマってしまったからじゃないの?」

シリーズ2の魅力、キーワードは”汎用性”。

いや、セブンの様なクルマに”汎用性”というと誤解を招きかねないが、つまりロータス・セブン一族をヒストリックカー趣味という視点から見ると、シリーズ2の持つ汎用性の高さが、際立つ。シリーズ1から引き継いだスパルタンなアマチュア・レーサーとしての資質、そしてシリーズ3、4と、時代と共に身につけることが必要とされた、公道を快適に走るためのロードカーとしての側面。オーナーとなればどちらを目指すも自由自在。その双方の資質を、絶妙なバランスで兼ね備えているのが、シリーズ2だったのだ。

サーキットから公道まで
その守備範囲の広さは
歴代モデル随一

この個体は1.5リッターの116Eエンジンを備えたロータス・スーパーセブン。通常のロータス・セブンに対し、コスワースなどのエンジンを搭載した高性能モデルに与えられたのが『スーパーセブン』の名称。高性能版とはいえ神経質な部分は皆無。軽い車重とも相まって条件を問わず乗り易い。
シリーズ2となって、カタログも工夫を凝らした3色刷りのグラフィカルなものへと進化した。折り畳むと約15cm四方のコンパクトなカタログだが、全て広げると天地15cm、左右90センチの細長い巻物状となる。写真はその半分を展開した状態。