ただレストアしただけじゃない!アノ500を完全再現!

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毎年旧車をレストアしてオートサロンに展示し、大きな話題を呼んでいるエンドレス。今年展示したフィアット500は、いつもと趣向を変えとある映画の「アノ500」を徹底再現して出展、例年以上の大きな注目を集めた。そのコダワリ尽くした細部に迫ってみよう。
TEXT:遠藤イヅル PHOTO:宮越孝政

SPECIAL THANKSエンドレスアドバンスhttps://www.endless-sport.co.jp/)佐久市教育委員会(旧中込学校)

ENDLESS FIAT 500

日本有数の高性能ブレーキ総合メーカー・エンドレスは、毎年オートサロンに合わせて国内外の旧車をフルレストアして持ち込んでいる。その過程はティーポで紹介する機会も多いので、読者の方にはおなじみだろう。

昨年、エンドレスが2020年オートサロンに展示するクルマを「フィアット・ヌォーバ500」に決めた際は、これまで同様のモダンな仕上げにする予定だったという、その中で「ルパン三世・カリオストロの城に出てくる、アノ500を再現したらどうか?」という声が社内からあがった。花里社長もその話を聞いて一気に話が進み、「やるなら、徹底的に再現しよう!」ということに。

そして数ヵ月のレストアを経て、遂にエンドレス・フィアット500が誕生、オートサロンに展示され大きな話題となった。

春の信州路を快活に走るエンドレス・フィアット500。床下にチラリと覗くアバルトのオイルパンがレーシー。

巨大なスーパーチャージャー付き! 劇中仕様へのコダワリが
ハンパない!

「カリオストロの城」で爆走する500のインパクトは大きく、これまでもいろいろな場所で数多くのレプリカが作られてきた。でも、エンドレス・フィアット500のコダワリは別次元だ。イエローのボディカラーは画面を見ながらイメージに合う色をチョイスしているだけでなく、リアフェンダーの下端も、アニメの柔らかい雰囲気に合わせて新たに造形し直している。

内装色も徹底的に忠実に再現。劇中車の仕様に近いノーマルの500Fなら、ダッシュボードと内装のピラー色は黄色になるのだが、この500ではそれぞれ劇中車に合わせグレーとえんじ色に塗り直されているのだ。ぼくはこの映画が大好きなので、数え切れないほどカーチェイスシーンを見てきたのだが、内装の色は気にしたことがなかった。画面を改めて見直したら、たしかにえんじ色だ。そうか、内装はこんな色だったのか!

他にもエンジンフードの開き方を変え、スーパーチャージャーのインテークも作製、フロントのオーナメントやメーターの針も劇中車に合わせている。そのコダワリポイントは数え切れないほどだ。ここまで再現したレプリカは、他にはまず無いだろう。

「カリオストロの城」で激しいカーチェイスを行なったフィアット・ヌォーバ500を忠実に再現。エンジンルームに鎮座する巨大なスーパーチャージャーのエアスクープは後付けで装着が可能だ。ボディカラーのレモンイエローも、画面を食い入るようにチェックして決定した、コダワリの色調とのこと。
ノーマル500Fのダッシュボードはボディカラー準拠だが、劇中車に合わせてグレーにペイント。
シートも劇中車に合わせて赤いレザーに張り替えた。
センターコンソールには小さな500とルパンが描かれた缶コーヒーが置かれている。
変わっていないように見えるメーターも、文字盤・針が劇中仕様に変更してある。芸が細かい!
ルパンといえば、灰皿に詰め込まれた吸い殻も印象深いアイテムの一つ。そこで発泡スチロールと紙でリアルに吸い殻を再現。シケモクを拾って再び吸う次元に憧れたっけ。
エンジン&スーパーチャージャーを始動する時に引いたレバーを形状まで完全再現。実際にフードのロック解除も可能。
100psを発生する劇中仕様とはいかないが、650ccに排気量をアップ。今後はスーパーチャージャーを実際に搭載予定とのこと。
ホイール・タイヤサイズはノーマルから大きな変更はなし。

言われないと気づかない
箇所にも抜かりなし

内装色も忠実に再現。ダッシュボード同様にピラー色もイエローではなく、えんじ色なのだ。何度も同シーンを見ていた筆者も映像ではまったく気がつかなかった。

リアフェンダーの下端を、アニメの丸っこい500のイメージに合わせて丸く形状修正してある。この徹底的なコダワリにただただ脱帽。

フロントのオーナメントは、500Fアバルトとも異なる「劇中オリジナル」だったため、流用せずに新規に作製し、完全再現。メッキも美しい。

「そこまでするの!」と唸った箇所はまだある。それはエキゾーストの取り回し。ノーマルは右側から出るが、劇中では左出しで、エンドもラッパ状になっている。これを再現するために、フジツボにマフラー製作を依頼してしまったのだから驚きだ。

ブレーキはエンドレス製パーツで強化されているが、ディスクブレーキ化は行わず、アルフィンドラムカバーの採用やシュー交換に留めている。性能を上げつつルパンが乗った500の雰囲気を保っているのが好ましい。スプリング&ショックアブソーバーも、もちろんエンドレス製で、レストアの際650ccまでアップした排気量とともに、この500の走る・曲がる・止まるという基本性能を向上させている。レースカーの製作もできる本格的な自動車パーツメーカー・エンドレスが作ったこの500が、単なるレプリカではないことがわかるだろう。

エンドレスの豊かなアイデアと卓越した技術力が結実して、たしかに「アノ500」は完全再現されていた。この500には本当にスーパーチャージャーを装着する予定もあるそうなので、今後の動向がとても楽しみだ。

レストアメニューには
エンドレスらしさがいっぱい

劇中車に合わせ、マフラーをノーマルの右から左出しに変更するため、フジツボにマフラー製作を依頼。ラッパ型の形状も再現した。
エンジンフードを通常とは逆の「上ヒンジ・下開き」に改造。
ルパンが乗っていた500のナンバー「R33」も再現。
エンジンマウントにはエンドレス製スプリングを使用する。
前後ショックアブソーバーは、エンドレス製の減衰力調整式が奢られ、500に機敏なハンドリングを与えている。
ブレーキはドラムのままだが、フロント・リアともに美しく放熱フィンが切られたアルフィンドラムカバーとエンドレス製シューに交換されている。
ノーマルに比べ、ブレーキのタッチ・効きともに格段に向上している。
リアのサスペンションスプリングは、もちろんエンドレス製のものが奢られる。

SPECIFICATION
FIAT 500 F
全長×全幅×全高:2970×1320×1325mm
ホイールベース:1840mm
トレッド(F/R):1120/1130mm
車両重量:470kg
エンジン形式:空冷水平対向2気筒OHV

総排気量:499.5cc
最高出力:18ps/4600r.p.m.
最大トルク:3.1kg-m/3500r.p.m.
サスペンション(F/R):ウィッシュボーン/スイングアクスル
ブレーキ(F&R):ドラム
タイヤ(F&R):3.5J-12/125