今でも楽しめるロードスターとライバルたちいつだって、軽くて速くて
気持ちよく!

2020.06.15 イタリア(ITALIA) マニュアル(MT) FR アバルト(ABARTH) ニューカー(新車) オープンカー ライトウェイト インプレッション 日本(JAPANESE) マツダ(MAZDA) ロードスター 124スパイダー
「オープン」×「ライトウェイト」×「2シーター」のスポーツカーは、ちょっと頑張れば手が届きそうな身近な存在だ。今もし新車で買うなら候補に挙がる、魅力的な4モデルをあらためて乗り比べてみよう。
TEXT:山田弘樹 PHOTO:内藤敬仁, 佐藤亮太

SPECIAL THANKS:マツダ(https://www.mazda.co.jp)/フィアット/アバルト世田谷(https://setagaya.fiat-abarth-dealer.jp)/エルシーアイ(http://www.lotus-cars.jp)/本田技研工業(https://www.honda.co.jp

モダナイズされた“人馬一体”感 MAZDA ROADSTER

初代ユーノス・ロードスターは、敢えてそのシャシー性能を煮詰めすぎず、限界を低く置いたことでスポーツカーの持つべき根源的な魅力を再び世界に甦らせた。それは、クルマを操っている! という実感で、そこが最大の功績だとボクは思っている。タイヤのグリップも低く、パワーも少ないから、こうした乱暴なやり方が成り立った。また時代もよかったのだと思う。

ここからロードスターはNB、NCと成熟し、NDでは遂に先祖返りを果たしたが、その走りは安定したグリップの中で初代のようなヒラリ感を実現させようとしたことが大きく異なる。もちろん限界を超えてからのコントロール性は相変わらず高いのだが、その限界自体はスポーツカーの熟成や安全性という言葉と共に引き上げられた。

それでもNDが楽しいのは、FRというクルマがどんな風に走ればよいのかを、マツダが知っているからだよね。未だにカミソリのような操舵応答性や、剛性感より軽さを優先することで生まれる華奢なコーナリングフィールが見え隠れするけれど、だからこそ“ヒラリ”が生まれると彼らは思っているのだろう。いわばこれは味だ。

そして絶対忘れちゃいけないのは、オープンカーであること。だからこそこの小ささが許され、2シーターが許され、価格設定が許され、走りの魅力は保たれた。自分で開けることができ、操作感が恐ろしく軽いソフトトップ。ワンハンドで閉められるその出来映えには感服する。ロードスターに乗れば、ボクたちは空を手に入れられるんだ。

NC型と比較すると全幅は15mm拡幅したが、逆に全長は80mmも短縮され、歴代モデルで最も短いサイズとなった。
エンジン搭載位置はNC型より15mm後方、13mm下方となった。日本仕様はソフトトップが1.5リッター、RFが2.0リッターを搭載する。
クルマの内と外の境目を無くすデザインで解放感と一体感を演出。メーター周りのレイアウトは、運転席を中心に左右対称とする。
3眼式の独立メーターは回転計をセンターにレイアウト。左側の水温と燃料計はカラー液晶を採用。
オリジナルとレカロ社製のシートを用意。

SPECIFICATION
MAZDA ROADSTER(ND)RS
全長×全幅×全高:3915×1735×1235mm
ホイールベース:2310mm
トレッド(F/R):1495/1505mm
車両重量:1020kg
エンジン形式:直列4気筒DOHC
総排気量:1496cc

最高出力:132ps/7000r.p.m.
最大トルク:15.5kg-m/4500r.p.m.
サスペンション(F/R):ダブルウィッシュボーン/マルチリンク
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤ(F&R):195/50R16
価格:333万4100円

イタリアらしい大らかな走りが魅力 ABARTH 124 SPIDER

アバルト124スパイダーを開発するとき、マツダのシャシーエンジニアもこれに付き合ったとの話を後から聞いたが、彼らにしてみれば「あ~あ、まじぃ!?」という感じだっただろう。だって1g削り取るために神経をすり減らしたボディには重たいバンパーをドカッ! とくっつけるし、2リッター版の駆動系を使えばよいとはいえ過給機はくっつけるし。サスセッティングの考え方だって、かはり違ったはずだ。

こうして出来上がったアバルト124スパイダーは、確かにロードスターの触感やディテールをそこかしこに残しながらも、きちんとイタリアンスポーツカーとして仕上がった。本音を言えば、アバルト595のような火の玉っぷりが、もっとあっていいけど。

ロードスターのような繊細なドライブフィールを求めるなら、124スパイダーは選ばない方がいい。1.4リッターの排気量から170ps/25.5kg-mを発揮するターボエンジンは基本的に低速トルクが細く、うかつなクラッチワークではエンストも当たり前。しかし回すほどにパワーが漲り、ゾーンに入ればドリフトコントロールも自由自在。低速トルクの細さなんて、アクセルをちょっとふかしてクラッチをミートさせればいいんだ! っていう、大らかな乗り方が一番合っている。そしてひとしきり汗をかいたら、ゆったり流す。走り出してしまえばそのトルクで、GT的に扱えるのも大きな美点。

ディスコンの噂があるのは悲しいけれど、これぞイタリアンたちが求めていたFRスポーツだと思う。

往年のアバルト124スパイダーを彷彿させるフロントの六角グリル。大きなヘッドライトと相まって肉食獣のような風貌。ヘッドライトはオプションでLEDにできる。
リア周りのデザインはワイド感が強調される。左右デュアルテールパイプのマフラーにはレコードモンツァがオプションで設定される。
コックピットはNDロードスターを引き継ぎつつ、回転計パネルやステアリングなどに赤のアクセントを加え個性を演出。
アルカンターラ&レザーのスポーティなシートが標準。
1.4リッターターボのマルチエアエンジン。ターボユニットはギャレット製だ。
タイヤサイズは17インチが標準で、ブレンボ製4ポットキャリパーを標準装備。サスペンションはビルシュタイン製。

SPECIFICATION
ABARTH 124 SPIDER(6速M/T)
全長×全幅×全高:4060×1740×1240mm
ホイールベース:2310mm
トレッド(F/R):1495/1505mm
車両重量:1130kg
エンジン形式:直列4気筒マルチエアターボ
総排気量:1368cc

最高出力:170ps/5500r.p.m.
最大トルク:25.5kg-m/2500r.p.m.
サスペンション(F/R):ダブルウィッシュボーン/マルチリンク
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤ(F&R):205/45R17
価格:406万円

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