他人と絶対に被らないチューコ車選び“所有欲”を異常に
満たしてくれるクルマ

2020.06.22 ルノー(RENAULT) シトロエン(CITROEN) フィアット(FIAT) 希少車 ミニバン 中古車(ユーズドカー) ランチア(LANCIA) パンダ(PANDA) フェドラ(FEDORA)
クルマ好きなら一度は思う(?)「他人と絶対に被らないクルマが欲しい」。そんな気持ちにお応えするべく、所有欲を異常に満たしてくれる2台の劇レアなイタリア製チューコ車をチョイス。ここにご紹介したい。
TEXT:遠藤イヅル PHOTO:高柳 健
SPECIAL THANKS:ESPERTO(https://esperto1999.com/

 

 

「できれば他人と被らない車種に乗りたい」と、望むクルマ好きも多い事だろう。そうなると選択肢としては国内外新車の限定車、中古車、もしくはヤングタイマーやヒストリックカーを選ぶことになる。これらに乗れば確かに街中で見かけることは稀だ。しかし、「絶対に被らないクルマを!」となると、そもそも日本では流通していないクルマを選ぶか、正規で販売したけれど絶対数が少なかったクルマを選べば、その望みは達成されるはず。

かくいう筆者はこれまで19台ほど所有してきたが、その中には正規車なのに当時から全く売れず+購入時の残存数一桁というクルマを多く乗り継いできた。具体的には『ルノー19TXE(レア度マックスの4ドア)』、『シトロエンVISA-GT』、『サーブ900 2.3S(2代目、左ハンドル、ノンターボ、3ドア)』、そして今持っている『プジョー309SI(日本専売、5ドア右ハンドル)』など、現存稼働車が一桁という「フェラーリF40やポルシェ959よりも日本での台数が少ない」クルマたちである。

これらは、派手なスポーツカーと違い、いずれも地味な実用車。現地では当たり前でも日本では全く売れなかったクルマなので、知名度はとても低い。フレンチブルーミーティングなど、フランス車イベントに乗りつけても多くの人がスルーしてしまうほどだ。でもマニアや「知っている人」が見れば、「わあ! なんてすごいクルマに乗っているんだ!」と声をかけてくれる。「他人と絶対に被らないクルマ」に乗ると、そんな嬉しさがある。所有欲を異常に満たしてくれるのである。

そこで今回、“他人と被らないクルマ”として2台のイタリア車をご紹介したい。まずはランチアのミニバン、『フェドラ』だ。ランチアのミニバン!? と思うかもしれないが、ランチアは1994年発売の『ゼータ』ですでにミニバンをラインナップしていた。ゼータは、『ルノー・エスパス』に触発されて1994年にフィアット、ランチア、プジョー、シトロエンの4社が共同開発した『ユーロバン』の一つで、実質的にはPSA(プジョー・シトロエン)が開発の主導権を握っていた。ユーロバンは2002年にフルモデルチェンジを行ったが、初代では商用兼用だったのに対して2代目では純乗用となった。車名は『フィアット・ウリッセ』、『ランチア・フェドラ』、『プジョー807』、『シトロエンC8』(初代ではそれぞれウリッセ、ゼータ、806、エヴァシオン)で、2代目もPSAの設計による。

しかし、高級車ブランドであるランチアのフェドラは、ボディ内外装に質の高いデザインと素材を用いることで、他の3車との差別化に成功している。フェドラは正規で輸入されなかったため絶対数が少ないだけでなく、輸入から10〜15年ほど経っていることからその台数すら漸減している。このクルマも国内残存数一桁は間違いない。取材した車両は上品なブルーメタに身を包み、車内は座り心地の良いシートが7脚。エンジンは『406クーペ』や『XM』などでおなじみの3リッターV6 24バルブで、アイシン製の4速A/Tを組み合わせる。ファミリー向けミニバンというよりは高級ピープルムーバーといった趣きだ。

ランチアの高貴な雰囲気を
持つミニバン

2代目ユーロバン4兄弟の中で最もエレガントなスタイルを持つフェドラ。漂う品格からランチアのミニバンという存在感を強く感じさせる。
同時期のランチア各車と共通したイメージのリアビュー。
横基調でまとめられたコクピットまわりはシンプルながらも上品な雰囲気。A/Tシフトノブまわりのデザインに、同世代シトロエンとのつながりが感じられる。
インテリアではセンターメーターが特徴的。透明面に文字、その下を針が回る凝ったデザイン。夜間照明は透過光で、盤面がボーッと照らし出される。
右上部に空調、中央下には純正ナビの操作パネルがあり、シフトノブ周辺のデザインは使い勝手もいい。
国産ミニバンと異なりフルフラットにはならないが、代わりにシート一つ一つがしっかりしていて座り心地が良い。
独立した3座が並ぶ2列目。後席シートは全て前方にたためる。
2列目センターシートは専用設計で、前に倒せばテーブルに早変わり。2列目左右と3列目の4脚は全て同じシートとなる。
運転席と助手席を回転させることが可能。なので出かけ先の車内でピクニック気分が楽しめる。考えただけでもワクワクする仕様だ。
通常の着座ポジションでも収納力があるが、3列目は前方にスライドするため、乗車5名までならかなりの収容力となる。
PSAプジョー・シトロエンの24バルブ3リッターV6エンジンは204psを発生する。欧州では他に2.2リッターディーゼル、2リッターガソリンなどもある。いずれもPSA製だ。
クロームで縁取られたペンタゴン型のグリルは上品で如何にもランチアらしい。
どの座席も平等に開放感が得られるトリプルサンルーフ。最前列だけでなく後ろ2枚もスライドで開閉する。
よく見るとフィンのカタチが五角形。このようにホイールデザインにエンブレムの意匠を取り込むのはランチアの常。

SPECIFICATION
LANCIA PHEDRA V6 3.0
全長×全幅×全高:4750×1863×1760mm
ホイールベース:2823mm
トレッド(F/R):1570/1548mm
車両重量:1760kg

エンジン形式:V型6気筒DOHC
総排気量:2959cc
最高出力:204ps/6300r.p.m.
最大トルク:27.5kg-m/4500r.p.m.
サスペンション(F/R):ストラット/トレーリングアーム
タイヤ(F&R):215/65R15

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