WRCが狂喜乱舞する時代に生まれたモンスターラリーのヒーローは
今も輝き続けていた!

2020.06.22 ルノー(RENAULT) フランス(FRANCE) 80年代 シトロエン(CITROEN) ホットハッチ プジョー(PEUGEOT) ラリー WRC グループB ホモロゲ
グループ4規定からグループB規定へと移行する1980年代のWRCシーンで、アウディやランチアと共に存在感を示していたのはフランスのマシンだった。当時のラリーマシンには、ホモロゲーションの関係上ベース車両の製作が義務付けられていた。
TEXT:三好秀昌 PHOTO:奥村純一
SPECIAL THANKS:TOSHIAKI HONDA(5TURBO)/MASAYUKI KASUYA(205 T16)/TAKESHI KITAZAWA(BX 4TC)

いつの時代もWRCの幕開けはモンテカルロラリーだ。有名なステージである、チュリニ峠の頂上ではイタリアとフランスのファンがコースの両側で対峙し雪合戦を始める。まるでランチアVSフレンチメーカーの前哨戦である。

この3台のフレンチマシン達もイタリアン、そしてWRCに勝つべく開発され、チュリニを目指した。今回紹介する3台は、そんな強者たちの素の姿である。

『ルノー5ターボ』は1980年のデビューからグループB規定まで、息の長いラリーマシンとして活躍した。5ターボの特徴は、日本で言えばヴィッツやフィットといったありふれたコンパクトカーにパワフルなエンジンを組み込んだ上に、FFからミッドシップ・リアドライブに変更したことだ。ベースモデルの可愛らしさの面影は消え、大きなフェンダーによって独特の迫力を醸し出している。

不思議な形をしたステアリングと対峙し、フロント越しに見える景色にこのクルマの小ささを実感する。しかしこのサイズ感にだまされてはいけない。後方にはぶっといタイヤをカバーするために巨大なブリスターフェンダーが控えているからだ。

パワーを絞り出すために大型のターボが装着されたため、エンジンフィーリングは巨大なターボラグがあると想像していた。

リアドライブと凶暴に立ち上がるビッグトルク。想像しただけでも震え上がる。しかしそれは杞憂に終わった。

エンジンはわずかなラグはあるものの4000〜5000〜6000r.p.m.とトルクフルかつ、シャープに回っていく。この感じはターボのようでもあり、大排気量エンジンのようなフィーリングでもあり、独特の味わいだった。

エンジン特性はリアタイヤのトラクションにも関係するようで、コーナリング中のパワーオンでも唐突にグリップを失うことはなく、強烈なトラクションを生み出している。スピードを上げていくとやや頼りない感じが出てくるステアリングと柔らかめのフロントサスペンションの組み合わせは、時としてアンダーステアを生み出すが、ターンインでしっかりとロールさせてやればフルパワーをかけてもリアはスライドせず、最大限のトラクションを掛けながら立ち上がれる。

トランスミッションのギヤ比はクロス気味で心地よくつながり、コーナーの立ち上がりでのピックアップがいい。ワインディングを得意とするマシンだろう。

WRCで長く活躍した秘密は、溢れ出る大パワーを活かせるシャシーの良さからくる扱い易さだったのだろうと理解できた。

ルノー5ターボ RENAULT 5 TURBO

左右に大きく張り出したフェンダーが特徴的なエクステリア。リアサイドにはクーリング用のダクトを設置する。
ターボIには専用のコクピットが与えられ、独立したメーターなど、アート作品のようなデザインでまとめられた。ターボII以降は標準の5アルピーヌと同じコクピットとなる。
座椅子にランバーサポートを後付けしたような、特徴的なデザインのシート。クルマのキャラに合っている。
本来ラゲッジスペースだった場所にエンジンを移設。リア車軸前のミドに搭載するのは、1.4リッターのOHVターボエンジン。
エンジンがあった場所にはラジエターをレイアウト。スペアタイヤもここに置かれる。
リムの深い専用ホイールは15インチ。タイヤはミシュランのTRX。

TOPICS スペックに勝るライバルと
対等に渡り合った

1980年のツール・ド・コルスでWRCにデビューした5ターボ。翌年のモンテカルロでは、ジャン・ラニョッティのドライブによって早くも優勝を飾るなど、その実力の高さを見せつけた。更にグループB仕様のマキシが1985年のコルスでも勝利を飾った。アウディ・クワトロやランチア037ラリーなど、スペックに勝るマシンを相手に大活躍した。

SPECIFICATION
RENAULT 5 TURBO
全長×全幅×全高:3665×1750×1325mm
ホイールベース:2420mm
トレッド(F/R):1345/1470mm
車両重量:970kg

エンジン:直列4気筒OHVターボ
総排気量:1397cc
最高出力:160ps/6000r.p.m.
最大トルク:21.4kg-m/3250r.p.m.
サスペンション(F&R):ダブルウィッシュボーン
タイヤ(F/R):190/55HR340/220/55VR365

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