ガレージイワサ

スペシャルショップ紹介

ホンダ”エス”とともに40年

ガレージイワサの成り立ち

モータリゼーション黎明期からクルマ趣味一筋

ホンダ・スポーツのスペシャリストとして長年にわたり活動してきたのが、埼玉県は志木市のガレージイワサ。代表の岩佐三世志さんは昭和39年(1964年)からのキャリアを誇る大ベテランで「丁稚奉公の時代から現在まで、長い間仕事を続けてこられたのは、若い頃に素晴らしい環境と人々に出会えたという自分の運のよさが大きい」と語る。

岩佐さんの師匠、米山幸作さんは昭和30年代に赤阪・溜池にあった輸入車を扱う名門、八洲自動車で工場長を任されていた方。昼間は修理をこなす一方、仕事が終わると当時最先端だったアメリカ車や欧州車の構造や技術について教えを乞うためにやってくる、国産車メーカーの技術者たちに様々なノウハウを伝授していたという。また、戦前の多摩川スピードウェイ(1936年開業の日本初の常設サーキット)のレースに市販車を改造したレーシングカーで出場、本田宗一郎とも競ったというレジェンドだ。

その米山幸作さんが立ち上げた豊島区の巣鴨の修理工場で修行を積んだのが、岩佐さん。「そこで使っていただいた恩義は決して忘れない」という。ちなみに米山幸作さんの息子さんが、1960〜90年代にかけて活躍したレーサー、米山次郎氏(!)。日本のモータリゼーション黎明期からの長い時間を、リアルに体験してきた岩佐さんなのである。

ガレージイワサ代表の岩佐三世志さん。およそ40年の長きにわたり、ホンダ・スポーツと共に歩んできた。

よく見れば、ショールームの一角にはモデルペットのS800クーペやコーギーのエランなどの、お宝系ミニカーも。

エスが4台収まったショールーム壁面の棚には、ディスプレイも兼ねて貴重なパーツが数多く並べられている。

ガレージイワサの強み

長い歴史と実績が醸し出す、穏やかなショップの空気

江戸の渡り職人よろしく、その後いくつかの整備工場での修行時代を経て、いよいよ『ガレージイワサ』として独立したのは1982年のこと。独立当初は比較的時間に余裕があり、また、この頃すでにエスのオーナーズクラブとも付き合いがあった岩佐さんは、請われるままにクラブのツーリングにメカとして帯同したり、彼らのクルマのメンテナンスを手掛けたりしているうち、自他共に認めるエスのスペシャリストへの道を歩み始めていたのは、ごく自然なことであったろう。

「パーツがひとつないだけで途端に作業が滞るから、ともかく昔からエスのパーツは一生懸命集め続けてきた」という岩佐さん。

通常の整備や修理に加えて、レストアも常に年に3〜4台、コンスタントに進めているが、クルマも年々歳をとる。「以前より、手間はかかるかな。それでも最近のクルマ趣味人は、みんな半分プロみたいなもんだから、いよいよ手が抜けないね」とも。

バラして洗って仕上げて組みつける。半世紀以上前の”丁稚奉公”時代から、クルマを綺麗に仕上げる手順は変わらない。

ガレージイワサの手によって仕上げられた小さなDOHCエンジン。デビュー当時、欧米のメディアから“時計のように精密”と評された。

取材当日、ショールームの中には4台のエスのほか、モーガン4/4とACグレイハウンドも鎮座していた。

ショップの向かいのスペースには、パーツ取りに使われたエスのボディが何台も。

ガレージイワサの人々

クルマだって歳をとる。手間はかかるが手は抜けない

取材当日、工場内で作業していたのはスタッフの内田雅之さんと岩佐義弘さん。それぞれ主にメカニカル・パートと塗装/ボディワークを担当されている。さらに当日は不在だった工場長、そして代表の岩佐さんのスタッフ全員で、整備からレストアまで全ての作業を一貫してこなせてしまうのがガレージイワサの強み。「スピーディな作業もお客さんに対するサービスのうち」とは社長の弁。

クルマ以外では、内田さんはオートバイ好きで休日はXL230でツーリングを楽しむとのこと。岩佐さんはミニベロ(小径自転車)が趣味で、通勤も自転車で。ちなみに代表の岩佐三世志さんの趣味は、スキューバダイビングと水中写真(!)。沖縄の海に通い詰め、写真の賞も獲ったことがあるという本格派。「広告用のクルマの写真も自分で撮影もするから、遊びも役に立つんだよ」と、人懐こい笑顔で語る岩佐さん。「人との良いご縁、運に恵まれた」というが、その幸運をきちんとキャッチして、長きにわたり継続させることは、やはり大きな努力がいるだろう。「他のスペシャルショップを見学すると、まだまだウチに足りないものが多い」と、メカニックとしてだけではなく経営者としての視点でも勉強を怠らない岩佐さん。

ホンダ・スポーツ乗りの駆け込み寺。そしてまた、国産・欧州車問わず1960年代のライトウェイト・スポーツも手がけるガレージイワサ。そのスタッフ全員の笑顔が、ショップの長い歴史と実績を無言のうちに物語る、自信の表れにも思えるのである。

スタッフの内田雅之さんは主にメカニカルなパートを担当。VWビートルやオートバイも趣味で、休日にはホンダXL230でツーリングに出かけるそう。

岩佐義弘さん。取材当日はロータス・エランのボティの仕上げ作業中。ミニベロ(小径自転車)が趣味とのこと。

ショップの半分はご覧のようなワークスペース。ホンダ・スポーツ一族のほかには、ロータス・エランなどの英国製スポーツカーも得意とする。

PHOTO/佐藤亮太

Shop Information

ガレージイワサ

埼玉県志木市中宗岡3-8-7
 
FAX:048-474-0130
営業時間:9:00~19:00
定休日:月曜日