オート・メディック

スペシャルショップ紹介

ヒストリックカーを中心にあらゆる車種に対応

オートメディックの成り立ち

クルマ趣味には貴賎も分断もなし

「ショップとしてひとつの車種やメイクスを極めるというのもアリだけど、自分の場合はどんなクルマにも興味があるからなんでも手掛けます」とにこやかに話すのは、オートメディックの代表、田中伸一さん。その言葉を裏付けるように、取材に訪れた当日のファクトリーにはMG TDとトライアンフTR3、2台の英国製スポーツカーに加え、イタリアのミッドシップ・スポーツ、バンディーニ1000/66が整備の最中であった。他にも同社の駐車スペースにはBMW2002にナロー・ポルシェ、トルネード・タリスマン、ランチア・フルビア1.3Sなどがランダムに止められており、そのラインナップはまさに百花繚乱。オートメディックの守備範囲は、とにかく幅広い。

少年時代からクルマとモータースポーツが好きだった田中さんは、工業高校の機械科で学びつつ16歳で軽免許を取得。その後は4年制普通大学に進学するが、そこでは本格的にラリー競技に参戦。三菱コルト1000Fを駆って、1972年の学生時代にはJMCのジュニアチャンピオンに輝いている。卒業後はA/Tやインジェクション・システムの整備・OHを得意とする工場で働くようになった田中さん。1970年代後半になると徐々にA/Tミッションを搭載するモデルも増え、また、インジェクションの高性能化も急速に進むなど、技術の進化が加速した時代で、多忙な日々だったという。

年式、国籍を問わずバラエティに富んだ車種の整備を行うオートメディック。原点は”修理工場”というメカニックの矜恃。

オートメディックの強み

「実はエルヴァが大好きなんですよ」

そんな中、田中さんは1982年に独立。『オートメディック』を立ち上げる。

学生時代からラリーなどのモータースポーツに親しみ、社会人となってからは最新の技術を習得する傍ら、同時に旧いクルマの整備も任されていたという田中さんであったから、オールマイティな自動車整備工場として、すぐに多くの仕事が舞い込むこととなる。また、仕事を通じて海外から様々なパーツ、そしてヒストリックカーそのものを輸入するようになってくると、いよいよ英国からエルヴァを輸入してみようと決心する。ちなみにエルヴァは、英国で数多く生まれたバックヤード・ビルダーから始まったコンストラクターのひとつで、一時期はロータスやローラと並び称される存在だった。

若い頃からそんなエルヴァに憧れていた田中さんは、海外のつてを頼ってエルバ・クーリエMk-IIとレーシングスポーツであるMk-Vを輸入。昔からの夢を叶えることとなる。そしてこの頃から徐々にヒストリックカーを扱う比率が増え、今では仕事の8割は旧車だという。

整備中の1966年バンディーニ1000/66。同社は第二次大戦直後の1946年にイラリオ・バンディーニが創設したスポーツ&レーシングカー・メーカー。

バンディーニのボディはアルミ製。オリジナルの排気量は1リッターという。このようなスペシャルな車種もさらりと扱う懐の深さ。

『SPORTING CLASSICS』と名付けられた、甲州街道沿いにある同社のショールーム。ファクトリーから2~300メートル離れた場所にある。

ショールーム内。手前はイギリスで完璧にレストアされたMG NAマグネット(1934)と、MG PBミジェット(1935)。その奥にはランチア・フルビア1.3S(1971)。

オートメディックの人々

クルマがもっと”文化”として根付いて欲しい

1999年から開催されているのが袖ヶ浦フォレストレースウェイで行われている『ファミリーサーキットデイ』。これはその名の通り、ワンボックスから戦前のクルマまで、あらゆる車種がそれぞれのクラスでサーキット走行できるイベントだ。

主催するのは非営利型の法人、東京都自動車整備振興会・調布多摩川支部の有志実行委員会。ちょっとお堅い響きの団体がどうしてと思うが実はこれ、田中さんが役員を務めていたのである。クルマは走るもの。車種や年式、国籍を問わず”クルマで走ることは楽しい”と少しでも多くの人に知って欲しいという思いから始まっている。この他にもオートメディックが関わっているイベントはいくつもある。日本でも欧米のように老若男女を問わず、もっとサーキットに親しんでほしいという、田中さんの想いの発露。

「自分の原点は”修理工場”。きちんと整備をしないと気が済まないし、ちゃんと整備されたクルマじゃないとお客さんに出せない。商売的には上手くないんでしょうが」そして「最近分かったのですが、自分が希少だと思っていても皆さんがご存知ないクルマは全く売れない」と笑顔で語る田中さんは、今日もスタッフの竹林さんと共に黙々と整備を続けるのである。

オフィスのアルバムには、今まで同社が手がけてきた数多くのヒストリックカーの記録が。

より多くの人にクルマの楽しさを知って欲しいと、様々なイベントにも関わってきた。

オートメディック代表の田中伸一さん。クルマの楽しさを広く知らしめたいと、工場の切り盛りに加え、様々なイベントの運営にも関わるベテラン。

メカニックの竹林さん。かつては日産プリンスで腕を奮っていたGT-Rオーナーでもある。趣味は剣道(!)。心なしか、サムライ風の佇まい。

PHOTO/佐藤亮太

Shop Information

オート・メディック

東京都調布市菊野台1-10-1
 
FAX:042-486-7735
営業時間:9:00~18:30(日曜祝祭日は12:00~19:00)
定休日:日曜日