エスパート

スペシャルショップ紹介

温故知新を地で行く”イタフラ車職人”

エスパートの店内で整備中のランチア・デルタとフィアットX1/9。X1/9はワンオーナー、走行1万3000kmという奇跡の個体だ。

エスパートの成り立ち

「職人であり続けたい」という願いを込めて

1999年にオープンしたエスパートは、横浜に拠点を置く”イタフラ車”専門店。代表を務める鶴岡省一郎さんは、イタフラ車の正規ディーラーを展開するとある有名店の初期メンバーで、1980年代からイタフラ車に携わっている。X1/9を新車で扱っていたと聞けば、その長さが伝わるだろう。

“イタフラ”という言葉はその有名店が作ったそうで、言ってみれば鶴岡さんはその道のエキスパートだが、そもそも店名の『エスパート』とは、エキスパートを意味するイタリア語”エスペルト”(Esperto)を英語読みしたもの。「職人であり続けたい」という願いを込めたそうで、つまりエスパートは”イタフラ車職人”なのである。

イタフラ車を専門に扱うエスパート。中でも、どこか個性が輝くクルマばかりを販売しているそうだ。

エスパートの強み

販売からアフターまで一括してできるようなお店作り

販売するのは”自分がいいと思うクルマ”と明確。「ウソがつけないんですよ。顔に出ちゃうんです」とは鶴岡さん。「かなり片寄っています」と苦笑しながら、インテリアであったりエンジンであったりデザインであったり、どこか個性が輝くイタフラ車を選んでいるそうだ。

鶴岡さんが駆け出しだった1980年代後半~1990年代は、クルマを販売しながら鶴岡さんを含めた営業マン自ら顧客のクルマをメンテナンスしていて、エスパートを創業する際にも、販売からアフターサービスまで一括してできるようなお店作りを心掛けたという。

当時とその後の経験が積み重なり、現在はレストアを手掛けるまでに至った。「年々やることがディープになっています」と鶴岡さんはこれまた苦笑するが、痒いところに手が届くメンテナンスやレストアに救われた人は多いと聞く。

しかし「まだまだだと思っています。自分で作業しないと新しい技術はわからないので、新しい車両も扱っていきたいですね。ユーザーの皆さんに応えられるよう、進化させないといけないし、自分を磨いていきたいんです」と向上心を見せる。こうした長年の経験と現状に満足しないその姿勢こそ、”イタフラ職人”の強みと言えよう。

整備入庫中のランチアYと、取材直前に売却済みとなったプジョー406クーペ。3リッターV6、左ハンドル&M/Tの奇跡的な個体だった。

奥は合間を見てレストア中のシトロエンDS。年々作業がディープになっていると鶴岡さん。オリジナルには必ずしもこだわらないそうだ。

こちらはフィアット124のダッシュボードだが、ウッドパネルは何とギター職人の手を借りてワンオフ製作したというから驚き。

販売からアフターセールスまで、一環して行えるのがエスパートの強み。古いクルマだけでなく、新しい技術の理解にも貧欲だ。

エスパートの”職人”

ランチアとシトロエンは足まわりに対する考え方が似ている

若い頃、トヨタ・トレノ、同レビン、ダイハツ・シャレードなどでラリーに出場し楽しんでいたという鶴岡さん。

「第1次ラリー規制というのがありまして、それでやめてしまいました。その後はCOXフルチューンの初代ゴルフに乗っていたのですが、ある時、見知らぬハッチバックにちぎられたんです。それがフィアット・リトモ130TCでした。これだ! と思いましたね」

こうしてイタリア車と出会った鶴岡さんは、その後、ラリーの香りがするランチア・デルタの8Vを中古で購入。その後16Vでデルタ・カップに出場するなどして楽しみ、現在もエボルツィーネを所有する。

また一方で好きなのがシトロエン。CX、GS、BX、XM(2台)、エグザンティア(2台)、初代C5、現行C5セダンと「ハイドロはDS以外全部乗りました。現在はC5ブレークに乗っています」。

そんなランチアとシトロエンには共通項があるという。

「足まわりに対する考え方が似ているんです。どちらもストロークをたっぷりとって足を動かすメーカーで、伸び側のストロークを重視しています。例えばランチア・イプシロンでも、コーナーでロールしても上はフラットなんですが、これってラリー車の考え方ですよね。それからハイドロって飛ばすとスポーティなのを、意外と皆さんご存知ないみたいで、タイヤグリップに依存しないサスペンションの作りってこうなんだと感心します」

趣味はスキー、スキューバダイビング、ラジコンなど幅広いが、最近のお気に入りは家族で行くキャンプ。C5ブレークに荷物を満載して現地へ向かう。

「ルーフテントの80kgとヒッチキャリアの120kgを載せても、ハンドリングが変わらないんです」とこれまた感心している。

ちなみに鶴岡さんは、元々ロボットエンジニアだったそう。学生時代にロボット工学を学び、産業用ロボットの開発をしていた。結局クルマの世界に魅せられて現在の道を選んだが、ある程度のものは自分で直せるし、最近のものにアレルギーがないという。

「新しいものと古いものを両立したいんです。新しいものを見られるように理解したいし、古いクルマは維持に困っている人を助けていきたいんです」と鶴岡さん。その背景を全て聞いたあとでは、そんな温故知新を地で行く言葉も説得力があるのだ。

エスパート代表の鶴岡省一郎さん。ロボットエンジニアからクルマ業界へ移った異色の経歴を持つこともあり、普通のディーラーでは手が出せないディープなメンテナンスやレストアも手掛けている。

趣味のひとつであるミニチュアカー。プラモデルはかなりの数を持っており、こうして店舗のショーケースにも並んでいたが、時間がなく手をつけられないそう。

デルタ・カップにも出場している鶴岡さんのデルタ・インテグラーレのボンネット上にあるのは、スタッフがお子さんと一緒に作ったという段ボールのデルタ。ウェアやヘルメットも用意して楽しんでいるそう。

鶴岡さんのシトロエンC5ブレーク。このようなルーフテントに加えヒッチキャリアを付けても、ハンドリングが変わらないその特性に感心しているそう。

最近遊びにいったキャンプの様子。”ハイドロでキャンプ”とは意外な響きだが、こうした実用的な使われ方こそがハイドロ本来の用途だと鶴岡さんは語る。

PHOTO/佐藤亮太

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